2001 Fiscal Year Annual Research Report
前立腺間質細胞の増殖とtransformation調節機構の研究
Project/Area Number |
11671566
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
高橋 聡 札幌医科大学, 医学部, 助手 (30332919)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 敦 札幌医科大学, 医学部, 助手 (20274946)
舛森 直哉 札幌医科大学, 医学部, 講師 (20295356)
伊藤 直樹 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (60193504)
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Keywords | 前立腺 / 前立腺肥大症 / 平滑筋 / Myofibroblast / TGF-beta / alpha-1 receptor |
Research Abstract |
本年度は我々が確立した培養ヒト前立腺筋線維芽細胞(MFB)と、購入したヒト前立腺筋線維芽細胞と平滑筋細胞(SM)が混在した細胞(MFB-SM)を用いて、alpha-1 receptor subtypeの発現につて検討を行った。 Alpha-1 receptorには1a,1b,1dのsubtypeが存在が知られているが、前立腺間質を構成するMFB、SMでの発現の違いについての報告はない。MFBとMFB-SMでのalpha-1a,1b,1d receptor mRNAの発現をReal time RT-PCR (TaqMan^<TM>)を用いて定量化した。その結果、alpha-1aはMFB-SMでのみ発現を認めた。1b、1dは細胞間で発現にばらつきがあったがMFB、MFB-SM両方で認められた。SMを含む細胞でのみ1aの発現を認めたことから、ヒト前立腺間質のMFBからSMへの分化の過程において1a receptorの発現がup regulationされている可能性が示唆された。 次に上皮-間質相互作用因子であるTGF-beta1のalpha-1 receptor発現に及ぼす影響を検討した。すべてのsubtype(1a,1b,1d)が発現しているMFB-SMを用いた。MFB-SMをTGF-beta1存在下(+)および非存在下(-)で培養しalpha-1a,1b,1d receptor mRNAの発現をReal time RT-PCR (TaqMan^<TM>)を用い定量した。また、[^<125>I]HEATを標識リガンドとして用いるラジオレセプターアッセイ法にてalpha-1 receptorの測定を行った。その結果、alpha-1aの発現はTGF-beta(-)の細胞でのみ認めた。1b,1dの発現はTGF-beta(+)でTGF-beta(-)よりも、それぞれ0.13倍、0.09倍と有意に低い結果であった。また、[^<125>I]HEAT (300pM)の特異的結合量は、TGF-beta(-)、TGF-beta(+)の細胞でそれぞれ37.5、21.3fmol/mg proteinと後者で減少した。TGF-beta1は前立腺平滑筋細胞への形態学的な分化に関与することが知られている。しかし今回の結果は、alpha-1 receptorの発現を抑制するという平滑筋の機能を脱分化させるものであった。このことから、前立腺間質細胞では形態学的分化と機能的分化は異なる調節を受けていることが推測された。
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[Publications] 伊藤直樹 他: "前立腺推定容積、最大尿流量率、残尿量およびI-PSSによる下部尿路閉塞の推定"泌尿器紀要. 47. 843-847 (2001)
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[Publications] 伊藤直樹: "排尿症状をどうとらえるか"腎と透析. 51. 843-847 (2001)
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[Publications] 伊藤直樹 他: "前立腺肥大症"臨床成人病. 31. 195-200 (2001)
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[Publications] 伊藤直樹: "前立腺のホルモン調節と効果発現の機序"Modern Physician. 21. 1182-1183 (2001)
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[Publications] 舛森直哉 他: "前立腺肥大症に対する塩酸タムスロシン長期投与後の臨床経過に関する検討"泌尿器外科. 14. 1369-1372 (2001)