2000 Fiscal Year Annual Research Report
精巣特異的新規movo遺伝子のヒト精子形成に関する基礎的・臨床的研究
Project/Area Number |
11671589
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
六車 光英 関西医科大学, 医学部, 助手 (10239460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畝崎 佐和子 関西医科大学, 医学部, 助手 (50257911)
伊藤 誠二 関西医科大学, 医学部, 教授 (80201325)
松田 公志 関西医科大学, 医学部, 教授 (20192338)
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Keywords | movo遺伝子 / 精子形成 / 精巣 / 男性不妊 / 転写因子 |
Research Abstract |
精子形成障害は男性不妊症の原因の約80%を占めるが、その約半数は原因不明の特発性精子形成障害で、男性不妊症の診断と治療の進歩には精子形成機構の解明が最も必要である。精子形成過程に関与する遺伝子の一つとして我々は精巣特異的に発現するマウスmovo遺伝子を単離同定したが、データベース検索によりそのヒト相同遺伝子であるhovoが存在することが判明した。このhovo遺伝子の発現をRT-PCR法にて解析したところ、精巣及び他の複数の臓器で発現が認められたが、ノザン解析を行ったところ精巣では他の臓器より短いmRNAが多く発現しており、精巣特異的な転写産物が合成されていることが示唆された。また、本遺伝子はsertoli-cell-only症候群の患者の精巣では殆ど発現しておらず、精巣では生殖細胞に特異的に発現しているものと思われた。本遺伝子によってコードされるタンパクに特異的な抗体を用いて精巣組織切片の抗体染色を行ったところ、初期の精母細胞の細胞全般に特異的な発色が確認され、本遺伝子は精子形成において減数分裂前期に機能することが示唆された。本遺伝子の生理機能は不明であるが、その翻訳タンパクはDNA結合領域であるZn-フィンガードメインを含んでおり、マウスMOVOタンパクと同じ塩基配列に結合することがゲルシフトアッセイ法にて確認されたことや、培養細胞を用いたルシフェラーゼアッセイにてmovoプロモーター領域の転写活性を抑制したことから、特定のDNA配列に結合してその転写活性を調節する転写調節因子として機能することが示唆された。
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