2000 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト羊水より発見した癌転移抑制物質の遺伝子導入による癌転移抑制に関する研究
Project/Area Number |
11671607
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
小林 浩 浜松医科大学, 医学部・附属病院, 講師 (40178330)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 光明 自治医科大学, 医学部, 教授 (50110870)
大井 豪一 浜松医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (10283368)
西口 富三 浜松医科大学, 医学部・附属病院, 講師 (30198452)
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Keywords | 遺伝子治療 / 卵巣癌 / 浸潤 / 転移 |
Research Abstract |
(1)ヒト羊水および尿中に存在する生理的物質に癌浸潤抑制作用があることを発見し、Urinary trypsin inhibitor(UTI)と命名したが、国際的にはbikuninと言われている。この物質を利用した遺伝子治療を目指し以下の結果を得た。 (2)UTIおよびその誘導体の遺伝子導入:各種ベクターを癌細胞に導入し強発現癌細胞を選択し、安定発現株を樹立する。安定的発現をフローサイトメトリー、ウエスタンブロット、ザイモグラフィー、免疫沈降法、免疫染色法により確認している。ヒト卵巣癌細胞HRAにUTI遺伝子を導入し安定したクローンを得た。これを用いてin vitro invasion assayを行ったところHRA親株に比べて明らかに浸潤能が抑制されていた。 (3)また、同様にこれらのクローンを導入した株におけるin vivo dissemination assayを行っている。ヌードマウス腹腔内にHRA親株およびクローンを移植し、癌性腹膜炎を発症させ、腹膜播種の程度および生存期間について検討したところ、明らかに腹膜播種した腫瘍の重量および生存期間の延長を確認することができた。 (4)UTIの作用機序解明:UTIを標識した後、癌細胞に作用させた後の取り込み実験を行い、UTIが癌細胞からのウロキナーゼ発現を抑制する機序をノーザンブロットおよびウエスタンブロットによりmRNAおよび蛋白質の変化を測定する。同時に細胞内シグナル伝達について検討しているところである。 (5)UTI結合蛋白質およびリセプターの同定:癌細胞の膜分画よりUTI affinity columnによりUTI結合蛋白質を精製した。少なくとも、分子量40kDaと45kDaの2種類の異なる蛋白質が得られた。分子量40kDaの蛋白質はそのアミノ酸配列の解析よりヒアルロン酸に結合するリンク蛋白質であることが確認された。一方、分子量45kDaの蛋白質は膜結合性でありUTI receptorと考えている。UTIは40kDaのリンク蛋白質と分子量45kDaのUTI receptorの両者に結合してはじめて癌細胞由来ウロキナーゼの産生を抑制することが確認された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kobayashi H: "Identification and characterization of a Kunite-type protease inhibitor in …"Int.J.Cancer. 87. 44-54 (2000)
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[Publications] Kobayashi H: "Human myometrial cells in culture express binding cites for UT1"Mel.Hum.Reprod.. 6. 101-108 (2000)
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[Publications] Kobayashi H.: "Identity of UT1-binding protein with link protein"J.Bial.Chem.. 275. 21185-21191 (2000)
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[Publications] Kobayashi H: "Suppression of UPA expression from human ovarian cancer cells by UT1"Biochim Biophyo Acta. 1481. 310-316 (2000)
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[Publications] Kobayshi H: "Invasive capacity of heterotopic endometrium"Gynecol.Obstet.Invest. 50. 26-32 (2000)
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[Publications] Suzuki M: "Clinical significance of combined use of macrophhage colony-stimulating factor and …"Gynecol. Oncol. 77. 405-409 (2000)