1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11671616
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西尾 幸浩 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (30303952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森重 健一郎 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90283788)
坂田 正博 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (10260639)
倉智 博久 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (40153366)
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Keywords | インテグリン / 絨毛細胞 / 細胞浸潤 / 転写制御 / MAPキナーゼ / 転写因子 |
Research Abstract |
トロホブラスト細胞が母体の子宮内膜に浸潤することで着床が成立するが、これは妊娠に必須であるばかりでなく、トロホブラスト細胞が癌細胞にも匹敵する強い浸潤能を有し、しかもこの浸潤能が厳密に制御されていることは生物学的に興味深い現象である。このトロホブラストの浸潤能には細胞外マトリクスとそれらをリガンドとするインテグリン特にa5およびa1インテグリンが重要な役割を果たしている。一方増殖因子の一つである上皮成長因子(EGF)やサイトカインのうちleukemia inhibitory factor(LIF)やIL-6など、さらにそれらの細胞内情報伝達因子であるMAP kinase系、JAK-STAT系が着床に重要な役割を演じていることも知られている。これらのデータから増殖因子やサイトカインなどが、トロホブラスト細胞に存在する上記の情報伝達系を通じてa5-、a1-インテグリンの発現を制御する可能性が考えられる。 これまでに本課題に関連し、ヒト絨毛癌細胞株BeWoを用いて、以下に述べるテーマで研究を行った。 EGFによるα5インテグリンの転写活性化のメカニズムの解析 a)α5インテグリンはEGFによってBeWo細胞上の発現量の増加が認められた。b)転写開始点より上流923bpまでを含むヒトα5インテグリンプロモータを用い、ルシフェラーゼアッセイにより、EGFによる転写活性化を確認した。この923bpを順次欠失させ検討したところ、EGFによる活性化は-55/-48に存在するAP-1様配列を含む-84/-36の部分を責任領域としていることが明らかとなった。c)このEGFの作用はMAPキナーゼの阻害剤、dominant negative STAT3の共発現のいずれかによってもで抑制されずPKC阻害剤のH7、Stauroporinによって抑制された。従って、主としてPKC経路依存性のAP-1転写因子の活性化が関与していることが示唆された。
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