2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11671616
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
倉智 博久 山形大学, 医学部, 教授 (40153366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 敏也 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (80283787)
森重 健一郎 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90283788)
坂田 正博 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (10260639)
中原 健次 山形大学, 医学部, 講師 (80250934)
齋藤 英和 山形大学, 医学部, 助教授 (90125766)
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Keywords | 絨毛細胞 / 細胞接着因子 / インテグリン / 上皮成長因子 (EGF) / 細胞浸潤能 / ケモタキシス |
Research Abstract |
ヒト絨毛癌細胞株BeWoをEGFにより刺激すると、すでに報告されているように、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)の分泌が促進される。このことは絨毛細胞の機能的分化の指標とされるが、細胞表面に発現される各種インテグリン分子のEGF刺激下における経時的変化を観察したところ、1)刺激前後でほとんど発現の観察されないもの(α3、α4)、2)刺激の有無に関わらず恒常的に発現されているもの(α1、α6、β1)、3)EGFの刺激により誘導を受け発現の増加が観察されるもの(α2、α5)に大別された。特に、3)に属するインテグリンの中で、α2インテグリンが最も顕著な動向を示していた。さらに、ノザンブロット法により、このα2インテグリンの発現がmRNAレベルで誘導されていることも明らかとした。 絨毛細胞の機能的分化のもう一つの指標として、浸潤能の獲得があげられる。我々は、EGFによるBeWo細胞の浸潤能の変化をマトリゲルを用いたinvasion assayで検討した。その結果、浸潤能はEGFにより増加を示し、また、α2インテグリンの機能阻害抗体により、この現象が部分的に抑制された。浸潤が接着とケモタキシスの影響下にあることから、コラーゲンマトリックスに対するadhesion assayおよびBoyden chamberを用いたchemokinetion assayにより検討を加えた結果、EGFは細胞接着性には影響を与えなかったが、浸潤能と同様にケモタキシスを増加させた。この現象は同じくα2インテグリンの機能阻害抗体によって抑制された。 以上から、EGFによる絨毛細胞における浸潤能の獲得には、α2インテグリンの発現増加とそれによるケモタキシスの亢進が関与している可能性が示唆された。
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