1999 Fiscal Year Annual Research Report
子宮頸癌発症に関わる新しい癌遺伝子の解析及び高リスク因子の分子生物学的同定
Project/Area Number |
11671617
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤田 征巳 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (60303963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎本 隆之 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90283754)
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Keywords | 子宮頸癌 / HPV / 遺伝子多型 / p53 / TSC40 |
Research Abstract |
TSC403遺伝子は、肺特異的遺伝子として最近同定された新しい癌遺伝子であり、癌細胞の転移に関係するLysosomal Membrance glycoproteins(lamps)-1,2と相同性を有する。TSC403癌遺伝子の異常の有無を婦人科腫瘍において検討した。TSC403遺伝子mRNAの高度発現を子宮頸癌で40中19例(48%)、子宮体癌で29例中3例(10%)、卵巣癌で33例中3例(9%)に検出し、子宮頸癌に特異的であった。サザンブロット法を用いた子宮頸癌13症例の検討ではTSC403遺伝子の遺伝子増幅・再配列は検出されなかった。子宮頚癌においてTSC403癌遺伝子の高度のmRNA発現が特異的に認められ、TSC403癌遺伝子の異常がその発癌に関与することが示唆された。 ヒトパピローマウィルス(HPV)による子宮頸癌の癌化に、HPVのE6蛋白がp53蛋白に結合し、機能を不活性化させる機構が考えられている。p53のcondon72には多型があり、ArginineとProlineの2種が存在する。この2種でE6蛋白との結合による分解感受性に差があることが報告された。この多型が、頸癌発症の高リスク因子に関わるかを検討した。子宮頚癌81症例では、Argホモ接合型:ヘテロ接合型:Proホモ接合型の比率は0.54:0.30:0.16であり、対照群の329例の比率(0.42:0.47:0.11)と比較してArgホモ接合型の比率が統計学的に有意に多く、HPV陽性子宮頚癌53症例でも同様に有意であった。p53codon72の遺伝子多型が癌化の高リスク因子となる可能性が示されたが、日本人におけるp53のArgホモ接合型の割合は約4割を占め、遺伝子多型検索のみでは特異性に欠けるため、他のリスク因子を含めた解析が必要であるという結論が得られた。
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