2001 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣癌、子宮体癌、絨毛癌の増殖、進展に関与する増殖因子と情報伝達系の解析
Project/Area Number |
11671629
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
加藤 聖子 九州大学, 生体防御医学研究所, 講師 (10253527)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和氣 徳夫 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (50158606)
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Keywords | 卵巣癌 / HGF / Ras / MAPK / PI3K / 浸潤能 / 分化 / アポトーシス |
Research Abstract |
子宮内膜細胞のアポトーシス誘導におけるRas蛋白(H-Ras、K-Ras)とその下流のシグナル伝達系の関与を解析した。 方法 (1)活性化型のH-Ras、K-Ras、活性化型Raf、PI3-kinase及び活性化型H-Rasのエフェクター結合領域に点突然変異をもつ変異体H12V35S(Rafの経路が機能)、H12V40C(PI3-Kの経路が機能)を用いた。それぞれのcDNAをラット子宮内膜細胞のRENT4細胞に形質導入しそれぞれの蛋白が発現している細胞株を樹立し、蛋白機能はRafはMAPK、PI3KはAktのリン酸化亢進で確認した。 (2)子宮内膜細胞のアポトーシスは血清飢餓により誘導し、In situ apoptosis detection法とFACSにおけるsubG1の出現で検出した。 (3)Rasの下流の経路を選択的に抑制するために、MEK阻害剤とPI3-K阻害剤を用いた。 成績 (1)アポトーシスはベクターのみを発現するmock細胞に比べて、活性化型K-Ras発現細胞(RK12V細胞)では増加,活性化型H-Ras発現細胞(RH61L細胞)では低下、活性化型Raf発現細胞では増加、活性化型PI3-K発現細胞では低下した。 (2)アポトーシスは、mock細胞とRK12V細胞ではMEK阻害剤で低下しPI3-K阻害剤で増加した。これに対し、RH61L細胞では両阻害剤により増加した。 (3)活性化型H-Rasのエフェクター変異体の発現はどちらもアポトーシスを抑制した。 結論 (1)子宮内膜細胞においてK-Rasはアポトーシスを誘導し、H-Rasは抑制する。 (2)活性化型K-Rasの下流のRafの経路はアポトーシスを誘導しPI3-Kの経路は抑制する。 (3)活性化型H-Rasの下流のRaf、PI3Kの経路は共にアポトーシスを抑制する。 (4)子宮内膜細胞のアポトーシス誘導においてRasを介するシグサル伝達系路間に作用の違いが存在する。
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[Publications] N.Shahib et al.: "Genetic Origin of Malignant Trophoblastic Neoplasms Analysed by Sequence Tag Site Polymorphic Markers"Gynecologic Oncology. 81. 247-253 (2001)
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[Publications] Terao Y et al.: "Sodium butyrate induces growth arrest and senescence-like phenotypes in gynecological cancer cells"International Journal of cancer. 94. 257-267 (2001)
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[Publications] Kato K et al.: "Contribution of estrogen receptora (ERa) to oncogenic K-Ras-mediated NIH3T3 cell transformation and its implication for escape from senescence by modulating the p53 pathway"Journal of Biological Chemistry. (in press).
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[Publications] 加藤聖子: "新女性医学大系41(rasとそのシグナル:婦人科腫瘍の分子・細胞生物学)"中山書店. 23 (2001)