2000 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠時の生理的インスリン抵抗性の発現機序とその異常
Project/Area Number |
11671632
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
安日 一郎 長崎大学, 医学部・附属病院, 講師 (70230240)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本田 純久 長崎大学, 医学部, 助手 (90244053)
松山 俊文 長崎大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30165922)
赤澤 昭一 長崎大学, 医学部・附属病院, 助教授 (10145261)
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Keywords | 妊娠 / インスリン抵抗性 / 妊娠糖尿病 / 妊娠中毒症 / 胎児発育 |
Research Abstract |
妊娠中期の高インスリン血症が妊娠後期における妊娠性高血圧の発症と関連することを明らかにし、妊娠中毒症の発症における母体のインスリン抵抗性の関与を示唆した(Mid-pregnancy serum C-peptide concentration and subsequent pregnancy-induced hypertension. Diabetes Care 2001;in press)。 妊娠中のインスリン抵抗性の指標として、空腹時トリグリセリド値が簡便で有用であることを確認した。さらに妊娠中期の母体血清トリグリセリド値が新生児の出生時体重と有意な相関があること、この関連は従来の児の発育に強い関連がるとされてきた母体の血糖値や肥満度から独立した関連であることを明らかにした(Maternal Serum Triglyceride at 24-32 Weeks of Gestation and Newborn Weight in Non-diabetic Women with Positive Diabetic Screens. Obstetrics Gynecology 2001;in press)。これは、胎児発育における母体の脂質代謝の関与という新しい知見を得るとともに、胎児発育における母体のインスリン抵抗性の発現の重要性を強く示唆するものである。 さらに、母体血清トリグリセリドの妊娠中の変化と母体の空腹時および糖負荷後の母体血清中の血糖、Insulin、C-peptide、Tumor Necrosis Factor α、Tumor Necrosis Factor受容体I、Tumor Necrosis Factor受容体II、Leptin、Human Chorionic GonadotropinおよびHuman Placental Lactogenといった妊娠中のインスリン抵抗性への関与が推測される母体の各種代謝因子や、母体体脂肪率等の妊娠中の変化との関連から、妊娠中の生理的インスリン抵抗性に関与する生理的因子と妊娠糖尿病発症機構を現在検討中である。 一方、我々は超音波断層法による非侵襲的な胎児皮下脂肪測定法を新たに開発した。妊娠の各時期における胎児の肥満度とインスリン抵抗性との関連の検討や胎児発育の評価、妊娠糖尿病の治療効果判定などの新たな指標としてその有用性が期待できる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] I.Yasuhi,JW.Hogan,J Carnik, et al.: "Mid-pregnancy serum C-peptide concentration and subsequent pregnancy-induced hypertension"Diabetes Care. 24・4(In press). (2001)
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[Publications] M.Kitajima,S.Oka,I.Yasuhi, et al.: "Maternal Serum Triglyceride at 24-32 Weeks of Gestation and Newborn Weight in Non-diabetic Women with Positive Diabetic Screens"Obstetrics Gynecology. In press. (2001)
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[Publications] 安日一郎: "妊娠とインスリン抵抗性"日本産科婦人科学会九州連合地方部会雑誌. 51. 16-18 (2000)
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[Publications] 安日一郎,岡智,山下洋,赤澤昭一,石丸忠之: "糖代謝異常妊娠、とくに妊娠糖尿病の食事療法"産婦人科の実際. 49・2. 195-200 (2000)