1999 Fiscal Year Annual Research Report
キニノーゲンを認識する新しい抗リン脂質抗体の流産および血栓形成機序の解明
Project/Area Number |
11671653
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
杉 俊隆 東海大学, 医学部, 助手 (70196707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 能安 東海大学, 医学部, 助手 (50307287)
勝沼 潤子 東海大学, 医学部, 助手 (20276843)
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Keywords | 抗リン脂質抗体 / キニノーゲン / 不育症 / フォスファチジルエタノールアミン |
Research Abstract |
近年抗リン脂質抗体が血栓症、不育症など多方面の分野で注目を浴び研究されている。電気的陰性リン脂質に対する抗体の多くはリン脂質に結合したβ_2-glycoprotein Iやprothrombinを認識するのに対し、電気的中性のリン脂質であるphosphatidylethanolamine(PE)に対する抗体の多くはPEに結合したkininogenを認識することが最近になって解明された。今回我々は、今までの基礎的データに基づきkininogenのdomain 3に注目し、その合成ペプチドを用いて抗PE抗体の認識部位を検討した。kininogen,domain 3のアミノ酸配列を文献の考察をふまえ4個所で切断し、Leu331-Met357(LDC27)、Pro258-Ala277(PEL20)、Gly235-Glu259(GKD25)、Asn276-IIe300(NAT26)、Lys297-Ser330(KKY34)の5つの合成ペプチドを作製し、それをアミノプレートに共有結合により固相化し、PEに結合したkininogenを認識する抗PE抗体(kininogen依存性抗PE抗体)を用いて、抗PE抗体の認識部位のmappingを行った。不育症患者の抗PE抗体の多くは、kininogen,domain 3上のLDC27を認識することが示唆された。この部位はcystein proteinase inhibitor活性を持ち、血小板の活性化を抑制し、抗血栓活性に携わる部位を含む。kininogenを認識する抗PE抗体が血小板凝集能を亢進させる事がすでに示唆されているが、今回の我々のデータはこの病原性を支持するものと言える。
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[Publications] Sugi, T: "Plasma contact system, kallikrein-kinin system and antiphospholipid-protein antibodies in thrombosis and pregnancy"J Reprod Immunol. (in press).
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[Publications] 杉 俊隆: "不育症におけるplasma contacy system,kallikrein-kinin systemの破錠と抗リン脂質抗体"日本産婦人科新生児血液学会誌. Vol.9. S22-S29 (1999)
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[Publications] 内田能安: "不育症における第四因子活性と抗リン脂質抗体との関係"日本産婦人科新生児血液学会誌. Vol.9. S90-S91 (1999)
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[Publications] 勝沼潤子: "キニノーゲン・ドメイン3上のフォスファチジルエタノールアミン(PE)結合部位の同定"日本産婦人科新生児血液学会誌. Vol.9. S84-S85 (1999)
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[Publications] 杉 俊隆: "抗リン脂質抗体症候群における母児相関-免疫学的血液凝固異常を中心に-"日本産婦人科学会雑誌. Vol.51. 607-614 (1999)
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[Publications] Sugi, T: "Prevalence and heterogeneity of antiphoshatidylethanolamine antibodies in patients with recurrent early pregnancy losses"Fertil Steril. 71. 1060-1065 (1999)
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[Publications] 杉 俊隆: "New Epoch 産科外来診療"医学書院. 268 (1999)