1999 Fiscal Year Annual Research Report
マウスを用いたレトロウイルスの異性間感染における経口避妊薬の影響について
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11671665
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
岡田 義昭 国立感染症研究所, 細菌血液製剤部, 室長 (80233352)
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Keywords | マウスレトロウイルス / LP-BM5 / 異性間感染 / エストロゲン / MIP-1α / MIP-2 |
Research Abstract |
近年、AIDSの異性間感染が大きな問題となっており、また、日本においては経口避妊薬の発売によってHIV感染の拡がりを危惧する声もある。マウスレトロウイルスに属するLP-BM5はヒトのAIDS様の後天性免疾不全症を誘導し、高率に異性間感染を起こす。これまで、経口避妊薬が異性間感染に与える影響は良く解析されていない。今回、LP-BM5の系を用いて経口避妊薬の主成分であるエストロゲンの異性間感染に与える影響を解析した。感染したマウスの膣洗浄液に含まれる細胞数は性周期を保ちながらも感染週数と共に増加した。感染8週では5×10^5となり、非感染マウスの2倍となった。増加する細胞はリンパ球様の細胞であり、走化因子の存在が考えられた。RT-PCRでの解析では感染マウスにおいてMIP-1αの増加が認められた。MIP-2の発現は確認できたが非感染マウスと差は認められなかった。次に、マウスに1頭当り100マイクログラムのエストロゲンを投与し、膣洗浄液中のMIP-1αとMIP-2をELISA法で定量した。感染、非感染マウス共にエストロゲン投与によって、MIP-1αとMIP-2が著明に増加した。これらから、エストロゲンの作用によってMIP-1αとMIP-2などのケモカインが膣において増加し、リンパ球や好中球が膣に集まることが明かとなった。エストロゲンは排卵期に高値のため、感染している雌の場合は感染細胞も遊走し、高率に雄を感染させ、一方、非感染の雌は感染の標的となるリンバ球が膣に集まっているため感染した雄から容易に感染する機構が示された。今後、MIP-1αとMIP-2の抗体投与による抑制実験やケモカインリセプタ-の解析がさらに必要だ。
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