1999 Fiscal Year Annual Research Report
音声障害に見られる病的声帯振動の生成機構に関する研究
Project/Area Number |
11671670
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新美 成二 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00010273)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加倉井 慎一 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (70302700)
小西 知子 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (60302668)
桐谷 滋 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90010032)
牧山 清 日本大学, 医学部, 講師 (00139172)
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Keywords | 嗄声 / 声帯振動 / 二重声 / 超高速度デジタル撮影法 / 電気声門図 / ストロボスコピー |
Research Abstract |
声の質に関与する生理学的な要素は、共鳴腔としての声道の音響特性、放射特性を決定するものとして開口の状態等が考えられるが、中でも重要なものは音源としての声帯の振動様式である。しかし観測方法の制限などの理由から、人の様々な発声で見られる声帯振動の解析は十分であるとはいいがたく、且つその生成機序は必ずしも明らかになっているとは云いがたい。本年度は嗄声の生成機序を明らかにするための観測手法の確立と、その有用性の検討を行った。方法は我々の教室で従来から開発を進め実用化している超高速度デジタル撮影法と、電気声門図の同時記録である。対象として、従来の方法では観測できなかった不規則な声帯振動が予測される二重声や高度嗄声の症例である。観察の結果、声帯振動の対称性、規則性の乱れが高度嗄声に関連した声帯振動の特徴であり、その様な声帯振動の乱れがある程度周期的に現れると二重声の聴覚印象が出現することが明らかになった。このような、声帯振動の乱れについての観測はストロボスコピーなどでは原理的に不可能であり、今回採用した超高速度デジタル撮影法が適していることが確認された。 また、同時に記録した電気声門図も声門の閉鎖の状態(周期性、両側声帯の接触の程度、声帯振動周期中の声門開放期、閉鎖期の時間など)知るためには有効であるが、たとえば二重声症例のような左右声帯の振動の違いが重要な要因になっている場合の解釈が困難であることが明らかになった。これらの知見は国内外の学会において発表された。
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[Publications] 宮地麻美子: "病的声帯振動パターンと声質との関連"日耳鼻会報. 102. 59-72 (1999)
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[Publications] 藤野昭典: "無声子音生成における調音器官と声門の"信学技報. 47-54 (1999)
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[Publications] Naito Y-H, Tayama: "Diagnosis and physiopathology of Laryngeal Deposits in Autoimmune Disease"ORL. 61. 151-157 (1999)
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[Publications] Tsunoda K: "Hoars Voice resulting from premature ageing in Werner's syndrome"The Journal of Laryngology and Otology. 114. 61-63 (2000)
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[Publications] 新美成二: "音声障害と声帯振動"音声言語医学. 40. 242-247 (1999)
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[Publications] Niimi S: "Vocal Fold Vibration and Voice Quality"Folia Phoniatrica et Logopaedica. 52. 32-38 (2000)