2000 Fiscal Year Annual Research Report
先天性・後天性感覚器障害の脳機能に及ぼす影響と脳の可塑性
Project/Area Number |
11671677
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
金子 賢一 京都大学, 医学研究科, 助手 (90283689)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長峯 隆 京都大学, 医学研究科, 助手 (10231490)
内藤 泰 京都大学, 医学研究科, 講師 (70217628)
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Keywords | 感音難聴 / 内耳性難聴 / 誘発脳磁界反応 / N100m / 内耳補充現象 / 聴覚過敏 / 聴覚野 / 音圧処理 |
Research Abstract |
昨年に引き続き、内耳性難聴者の聴覚野での音圧処理に関して、対象数を増して脳磁図を用いて検討した。40dBから70dBの4種の1kHz純音を片耳に無作為な順序で提示し、これにより得られた誘発脳磁界反応を計測した。両側側頭葉上面に刺激後約100ミリ秒後に見られるN100m反応のモーメント・反応潜時について解析したところ、内耳性難聴者群、正常対照群とも刺激音圧が大きくなるに従って、潜時は短く、モーメントは大きくなった。その変化の度合いは正常対照群に比して内耳性難聴群で顕著に大きく、またその絶対値についてみても、内耳性難聴者群は正常群より有意に50dBでの潜時が長く、70dBでのモーメントが大きかった。 次に同一対象において、難聴時と健聴時を比較してみた。内耳補充現象を示す突発性難聴者の発症後11日目の中等度難聴時と発症後38日目の治癒後に、聴覚野の音圧処理に関して同様に脳磁図を用いて検討した。難聴時と治癒後を比較すると、N100m反応のモーメント・反応潜時は、難聴時には音圧変化に伴い大きく変化したが、治癒後は同様に変化を示すものの、その変化の程度は微少なものとなり、上記の内耳性難聴者群、正常対照群での差違と同様の傾向を示した。 内耳性難聴者の障害を受けた蝸牛からの出力は正常に比し抑制されると従来からされており、今回の結果はこの正常より小さな末梢からの入力に対して、中枢において非線形的な処理が行われることを示すものであり、内耳補充現象や聴覚過敏といった内耳性難聴者に特徴的な、実際より音入力を大きく自覚する症状の一因が中枢での音圧処理機構にあることを示唆すると考えられた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Fujiki N., et al.: "Brain activity of pre- and postlingually deafened children using cochlear implants"Ann Otol Rhinol Laryngol. Suppl 185. 12-14 (2000)
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[Publications] Naito Y., et al.: "Development and plasticity of the auditory cortex in cochlear implant users : a follow-up study by PET"Adv Otorhinolaryngol (Basel). 57. 55-59 (2000)
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[Publications] Hirano S., et al.: "Functional differentiation of the auditory association area in prelingually deaf subjects"Auris Nasus Larynx. 27. 303-310 (2000)
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[Publications] Morita T., et al.: "Auditory evoked magnetic fields in patients with loudness recruitment phenomenon"Biomag 2000. (in press).
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[Publications] Fujiki N., et al.: "Cortical activity and speech perception performance in cochlear implant users"Adv Otorhinolaryngol (Basel). 57. 32-35 (2000)
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[Publications] Naito Y., et al.: "Increased cortical activation during hearing of speech in cochlear implant users"Hearing Research. 143. 139-146 (2000)