2000 Fiscal Year Annual Research Report
アデノウィルスベクターを用いた難聴モデルノックアウトマウス内耳への新規遺伝子導入-膜2回貫通型内向き整流カリウムチャネル(kir4.1)遺伝子を標的として-
Project/Area Number |
11671679
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
土井 勝美 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (40243224)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 学 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (50273644)
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Keywords | アデノウイルスベクタ- / 遺伝子治療 / 難聴 / 蝸牛 |
Research Abstract |
1.Kir4.1カリウムチャネルノックアウトマウスの作成と内耳機能の解析 Kirチャネルのpore部分にはGly-Thy-Gly(GYG)またはGly-Phe-Gly(GFG)という共通のアミノ酸配列が存在し、同チャネルのイオン透過性に極めて重要な役割を果たしている。この保存されたGYG、GFGをAa-Ala-Ala(AAA)に変換してやると、カリウムイオンを透過させないdominant negative(DN)体が作成出来る。Kir4.1-DN体をpCAGGS vectorに挿入した後にマウス卵母細胞に導入することでKir4.1-DN体を共発現するtransgenic miceを作成することが可能である。 野生型マウスにおいて、Kir4.1は内耳のラセン神経節細胞、コルチ器内支持細胞、血管条辺縁細胞などに発現し、内リンパ電位(EP)の発生など内耳機能に必須の分子であることを証明した。Kir4.1ノックアウトマウスの聴覚機能をABR測定により評価したところ、野生型マウスと比較して、明らかな聴覚機能の低下を確認することは出来なかった。 2.klotho遺伝子ノックアウトマウスの聴覚機能 Kir4.1ノックアウトマウスの内耳機能に明らかな低下を確認することが出来なかったため、次に、klotho遺伝子ノックアウトマウスの聴覚機能を評価して、同マウスが難聴モデルマウスとして適当か否か検討した。kl/klマウスのABRは、wildマウスと比較し、すでに4週齢の時点で、l波の潜時延長と閾値上昇を示し、また、EPの低下も確認されたことから、同マウスは内耳性の聴覚機能低下を有し、難聴モデルマウスとして適当であると考えられた。 3.klothoアデノウイルスベクタ-による聴覚レスキュ- klotho遺伝子を挿入した非増殖性アデノウイルスベクタ-(adenovirus vector:AdV)を、マウス中耳腔および蝸牛内に導入した。AdV内にはLacZ遺伝子が予め挿入されており、x-galを反応させることで、AdVが感染した細胞を組織学的に容易に検出した。中耳および蝸牛内でのLacZ遺伝子の発現を確認するとともに、klothoアデノウイルスベクタ-により、同ノックアウトマウスの聴覚機能の低下がレスキューされることを確認した。
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