1999 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト内リンパ嚢における水吸収の調節因子―メニエール病の新たな治療への応用―
Project/Area Number |
11671686
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
重野 浩一郎 長崎大学, 医学部, 助教授 (10162588)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 俊光 長崎大学, 医学部, 教授 (80133958)
中尾 善亮 長崎大学, 医学部・附属病院, 講師 (40188884)
|
Keywords | 内リンパ嚢 / メニエール病 / 遺伝子導入 / 培養 |
Research Abstract |
(1) 内リンパ嚢上皮の実験系としてラット内リンパ嚢上皮の初代培養を確立した。また、transgenic mouseを用いた内リンパ嚢上皮のcell line作製に成功し、更にRT-PCRにて水チャネルaquaporin(AQP1〜6)が発現されていることを確認した。 (2) 内耳の非感覚上皮であるラット前庭暗細胞、半規管上皮、内らせん溝上皮などの培養を行いFITC-dextranを用いたfluid phase endocytosisを観察した。これらの培養系を使用することは内リンパ嚢以外の内リンパ吸収に関与していると思われる上皮細胞の細胞レベルでの内リンパ吸収のメカニズム解明に寄与するものと思われる。 (3) 蛍光色素SPQを使用し細胞内のCl^-濃度の変化を測定することにより細胞内外の水透過性を測定するシステムを作製した。今後、培養細胞を用いこのシステムを様々な環境下(イオン濃度の変化、ホルモン負荷、遺伝子導入後など)に応用する予定である。 (4)内リンパ嚢は固有の電位(endolymphatic sac DC potential;ESP)を有していることが知られているがヒトESP測定の報告はなかった。我々は聴神経腫瘍およびメニエール病の手術中にESPの測定を行い組織学的な変化とESP電位との関連を検討中である。聴神経腫瘍患者のESP電位は役13mVと安定しているが、メニエール病患者のESPはばらつきが大きく組織学的に変化が大きい例の電位が低い傾向がありそうで、今後メニエール病患者の症例を増やしESP測定を行う予定である。
|