1999 Fiscal Year Annual Research Report
各種グリコサミノグリカンの角膜疾患との関わりについての免疫組織化学的検討
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11671732
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
平野 耕治 名古屋大学, 医学部, 講師 (50228798)
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Keywords | グリコサミノブリカン / ケラタン硫酸 / コンドロイチシ硫酸 / プロテオグリカン / コラーゲン細線維 / 角膜の透明性 |
Research Abstract |
ヒト角膜実質の創傷治癒過程におけるケラタン硫酸、コンドロイチン硫酸の動態を調べる目的で、全層角膜移植術後、移植片の内皮障害などにより初回手術後7ヵ月、1年3ヵ月、2年10ヵ月、30年で再移植を行なった4例4眼よりえられた角膜組織を用い、抗ケラタン硫酸抗体、抗コンドロイチン硫酸C抗体、抗コンドロイチン硫酸A/C抗体を一次抗体とした免疫組織化学的検討を行なった。ケラタン硫酸は全例において角膜組織全体に分布していたが、ことに上皮下に局在がはっきりしていた。コンドロイチン硫酸A/Cは7ヵ月および1年3ヵ月後の再移植例での上皮下と患者角膜との接合部に局在していたが、2年10ヵ月および30年を経た移植片からは発現が認められなかった。一方、コンドロイチン硫酸Cは全例において検出されず、発現が認められたのはコンドロイチン硫酸A構造であり、この構造が角膜の創傷治癒の段階で深く関わっていることが示唆された。 次に、ヒト角膜において、これらグリコサミノグリカンと関わるプロテオグリカン(PG)とコラーゲン細線維の相互関係を調べる目的で、病理解剖でえられたヒト角膜をコンドロイチナーゼABCまたはケラタナーゼで消化処理し、その前後でのコラーゲン細線維の表面構造の比較を三次元的解析により行なった。 コンドロイチナーゼABC処理では角膜のコラーゲンの表面構造に変化はなかったが、ケラタナーゼ処理ではコラーゲンの周期構造の溝が深くなり、角膜においてケラタン硫酸がコラーゲンの周期の溝を埋める形で存在し、これにより線維の等間隔性が保たれ、角膜の透明性に寄与していることがわかった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Hirano K,Sai S.: "Severe Acanthamoeba sclerokeratitis in a non-contact lens wearer"Acta Ophthalmol Sandinav. 77・3. 347-348 (1999)
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[Publications] Hirano K.: "Current Opinion in the Kyoto Cornea Club Vol.III"Kugler Publications Bv,Amsterdam. 13 (1999)