1999 Fiscal Year Annual Research Report
難治性ぶどう膜炎の発症機序の解明および治療法の確立に関する研究
Project/Area Number |
11671750
|
Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
杉田 美由紀 横浜市立大学, 医学部, 助教授 (90235888)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 重昭 横浜市立大学, 医学部, 教授 (50002382)
中村 聡 横浜市立大学, 医学部, 講師 (00237398)
|
Keywords | 原田病 / アポトーシス / Fas・Fas Lingand / bcl-2 / caspase8 / ステロイドパルス療法 |
Research Abstract |
1.原田病の炎症担当細胞におけるアポトーシスの解析 原田病新鮮例の髄液細胞はFas・FasLigandともに高率に発現しており消炎にむけて炎症細胞のアポトーシスによる消失が準備されていると考えられる.一方末梢血リンパ球はOKT-3刺激するとFas・Fas Ligandは対照に比べ有意に高率に発現した.しかし,ここに抗Fas抗体を添加してアポトーシスを誘導すると,原田病では早期アポトーシスマーカーであるannexinVの発現が対照に比べ低下していた.この結果から,原田病新鮮例の末梢血リンパ球でアポトーシス抑制の存在が示唆された.さらに細胞内のアポトーシスシグナルの変化をみるためアポトーシス関連蛋白のmRNA発現をRT-PCRにて検討した.そのうち抑制蛋白であるbcl-2のmRNA発現は100%に見られたが,誘導蛋白であるcaspase8のmRNAの発現が正常対照に比べ低下していた.ステロイド投与3週後の治癒過程にある患者ではcaspase8のmRNAの発現率はやや増加してくるが発現の見られない例もあり,この中に治療に対する反応不良例や遷延例がみられた.この結果からcaspase8の発現低下が原田病の局所に浸潤してしる炎症細胞の細胞寿命を延長させ炎症を遷延しているものと考えられた. 2.原田病に対するステロイド治療の検討 本病の治療にはステロイドのパルス療法が有用であるが,重篤な副作用を軽減するためにステロイドの投与量を減らし,メチルプレドニゾロン500mgを3日間点滴するステロイドセミパルス療法を導入して治療を試みた。従来のメチルプレドニゾロン1000mgを投与した例との明らかな差はみられず十分な効果が得られている。さらに症例を増やし詳細に検討する予定である。
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] 杉田美由紀: "ぶどう膜炎の診断と治療―最近の進歩"あたらしい眼科. 16(6). 781-786 (1999)
-
[Publications] 杉田美由紀: "ぶどう膜炎と飛蚊症"日本の眼科. 70(8). 361-364 (1999)
-
[Publications] Yawata N.: "Hith incidence of glucose intolerance in Vogt-Koyanagi-Harada disease"Br J Ophthalmol. 83(1). 39-42 (1999)
-
[Publications] 杉田美由紀: "ぶどう膜炎治療の問題点 原田病"眼科. 41(11). 1409-1414 (1999)
-
[Publications] 鳥山聖子: "実験的自己免疫性網膜ぶどう膜炎におけるリンパ球接着分子の検討"眼紀. 50. 390-393 (1999)
-
[Publications] 大野重昭: "Vogt-小柳―原田病の発症機序"日本眼科学会雑誌. 103(4). 269-270 (1999)
-
[Publications] 杉田美由紀: "眼科診療プラクティス(47)感染性ぶどう膜炎の病因診断と治療"分光堂. 137 (1999)
-
[Publications] 杉田美由紀: "新図説臨床眼科講座7 感染症とぶどう膜炎"メジカルビュー社. 246 (1999)