1999 Fiscal Year Annual Research Report
網膜における神経伝達物質の非神経伝達機能に関する研究
Project/Area Number |
11671754
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
若倉 雅登 北里大学, 医学部, 助教授 (50137931)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市辺 義章 北里大学, 医学部, 講師 (70265700)
川上 倫 北里大学, 医学部, 教授 (60177649)
山本 昇 北里大学, 看護学部, 教授 (10050543)
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Keywords | 網膜 / ミュラー細胞 / 神経伝達物質受容体 / ドパミン / D_1受容体 / D_2受容体 / 細胞内カルシウムイオン濃度測光 / 細胞内粒子活動 |
Research Abstract |
ミュラー細胞に神経伝達物質受容体が同定もしくは存在が推定されているが、この受容体はグリアに発現しているのであり、当然通常の神経伝達を行っているわけではない。そこで、ミュラー細胞に発現する神経伝達物質受容体の性質を調べる目的で、今年度は、ドパミン受容体について次の実験を行い、成果が得られた。 I.培養ミュラー細胞におけるドパミンアゴニスト投与による細胞内カルシウム濃度測光。家兎ミュラー細胞の単独培養を用い、ドパミンおよびそのサブタイプ、D1アゴニスト(R(+)-38393 )とD2アゴニスト(R(+)-23390 )を種々の条件で投与し、fura-2を指示薬として投与前後の細胞内カルシウムイオン濃度測光を行った。その結果、D1アゴニスト投与では濃度依存性に細胞内カルシウム濃度上昇陽性細胞が増加し、この応答はアンタゴニストによって抑制された。また細胞外カルシウムイオンを枯渇させると、同反応は起こらなかった。D2アゴニストでは陽性細胞は得られなかった。 II.高倍率ビデオ増感顕微鏡によるドパミン受容体アゴニスト機能の検出 既設の高倍率ビデオ増感顕微鏡で、培養網膜ニューロン及びミュラー細胞の細胞内小器官が観察できる条件を決定した。これを用いて、ドパミンアゴニスト投与前後の細胞内粒子の活動性のリアルタイムの観察を行った。その結果、D1はカルシウム依存性に細胞内小胞の活動を抑制し、D2はカルシウム非依存性に細胞内小胞の活動を賦活化した。これらは、各アンタゴニストで部分的に抑制された。 以上より、培養ミュラー細胞にはドパミン受容体サブタイプのうち、D1,D2ともに存在する可能性が高い。そして、D1受容体は細胞内活動を抑制し、D2受容体は賦活する方向に働くことが示された。 この細胞応答の少なくとも一部は、同受容体を介さないことが示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 若倉雅登: "網膜・視神経のグリア 最新の進歩、序論"神経眼科. 16. 2-4 (1999)
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[Publications] 嶺井利沙子、若倉雅登: "Muller 細胞における神経伝達物質受容体"神経眼科. 16. 5-9 (1999)
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[Publications] 若倉雅登、真下紀美代: "培養ミュラー細胞にけるドパミンアゴニストの応答性"日本眼科学会雑誌. (発表予定).