1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11671755
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
宇賀 茂三 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (60037380)
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Keywords | マウス水晶体 / 穿孔性外傷 / 損傷面積 / 液化 / 前方混濁 / 後方混濁 |
Research Abstract |
ヒト外傷性白内障の発症機序はまだ不明のままである。我々は動物モデル(マウス)に水晶体前面を針で刺入する方法で、損傷の深さの違い、水晶体側面損傷などについて調べてきた。今回、上皮損傷面積の違いによる水晶体の反応について検討した。 損傷後の水晶体の反応様式には、大まかに3型に分類できた。損傷1ヶ月後でも水晶体が透明性を維持しているものは小面積損傷の場合で、損傷部は上皮細胞が重層化して被覆していた。次に、損傷2〜3日後に後嚢側から混濁を発症するものは中等度損傷の場合で、上皮損傷は皮質線維の突出部周囲に限局していた。この場合、最初に後縫合部に液化が生じ、そこから混濁が前極側に拡大して、成熟白内障に到達した。第3の型は、線維損傷と上皮損傷の両方が大きい大面積損傷で、前嚢下に液化が発生し、そこから後方に混濁が拡大して成熟白内障になった。 小面積損傷で水晶体が透明性を維持したのは、上皮細胞が増殖して早期に損傷部を被覆したためと思われる。中等度損傷における後方からの混濁は、上皮細胞の損傷が限局され前皮質線維の損傷も少ないため、損傷部から房水が後極に到達し、後縫合を解離させ、線維を液化させ、核周囲帯線維から混濁が発生したと考えられる。大面積損傷における前方からの混濁は、上皮細胞の消失量が大きく、上皮下の線維損傷も多いために、損傷部から侵入した房水が直接前嚢下の線維を液化させて、ここから混濁が発生したと思われる。 上皮細胞の修復は、損傷の程度に拘らす顕著に認められた。増殖した線維細胞にはフィランメントを多量に含んでおり、これらは収縮性のアクチン蛋白であることが組織化学的に証明できた。 これらの内容は、外国雑誌に投稿できるように英文で準備中である。
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[Publications] Okano T, Uga S et al.: "Lens reconstruction after mature cataract in SCR rat."Jpn J Ophthalmol. 43. 363-367 (1999)
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[Publications] Uga S: "Experimental traumatic cataract: Morphological study."Proceedings of Internat' 1 Symp Electron Micr. (in print).
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[Publications] 宇賀茂三、猪俣盂: "外傷性白内障"臨床眼科. (印刷中).
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[Publications] 宇賀茂三: "眼科診療プラクティス「虹彩の構造と生理」"文光堂. 4/150 (2000)