2000 Fiscal Year Annual Research Report
ヒルシュスプルング病結腸における外来神経増生メカニズムに関する研究
Project/Area Number |
11671768
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Research Institution | NAGOYA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
渡辺 芳夫 名古屋大学, 医学部, 助教授 (80201242)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥橋 茂子 名古屋大学, 医学部, 助手 (90112961)
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Keywords | ヒルシュスプルング病 / 外来神経 / 骨盤神経叢 / アセチルコリンエステラーゼ / 無神経節腸管 / シナプス開口関連蛋白 / NO作動神経 |
Research Abstract |
1.昨年度までの研究で、筋層と粘膜下層は異なる種類の外来神経支配を受けることを明らかにした。そして、増生したアセチルコリン陽性神経線維に代表される外来神経が骨盤神経叢由来の遠心性神経であり、神経分泌機能を有することが明らかとなった。 2.一方で、無神経節の結腸は狭小化し、その口側の腸管が拡張する。この狭小化の原因として、アセチルコリン陽性神経が関与している可能性が示唆されている。そこで、腸管の基礎運動をつかさどる特殊平滑筋とこれに抑制的に働くNO作動神経の関係を検討した。ヒルシュスプルング病では既に特殊平滑筋が存在することを証明し報告したので、消化管の弛緩に関与するVIPとNO作動神経を免疫染色して検討した。この結果、無神経節結腸においてVIPは豊富に認めるもNO作動神経は認めなかった。VIPは骨盤神経叢由来の遠心性神経に含まれており、NOは腸管の神経節細胞の運動抑制伝達物質として知られている。したがって、無神経節の結腸の狭小化にはNO作動神経の欠如が強く関与していると考えられた。 3.一方で、食道アカラジアもヒルシュスプルング病と同様に下部食道括約筋の収縮状態が持続する疾患である。そこで、食道アカラジアの特殊平滑筋とNO作動神経の関係を検討した。この結果、食道アカラジアにはヒルシュスプルング病と異なり、特殊平滑筋とNO作動神経の両方を認めた。しかし、正常対照ではNO作動神経が特殊平滑筋の周囲を取り囲むように存在するのに対して、食道アカラジアではN0作動神経は筋間神経叢にのみ認め、特殊平滑筋と近接するNO作動神経を認めなかった。以上から、無神経節の結腸は狭小化にはNO作動神経が特殊平滑筋に作用しないことが関与していることが推測された。 4.今後の検討事項:将来的にこれらの神経の腸管への作用を研究するためには、神経分泌と対象となる平滑筋のレセプターを検討する必要がある。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Watanabe Y,Ito F,Ando H, et al.: "Morphological Investigation of Enteric Nervous System in Hirschsprung's Disease and Hypoganglionosis Using Whole-mount Colon Preparation"Journal of Pediatric Surgery. 34・3. 445-449 (1999)
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[Publications] Watanabe Y,Ando H,Seo T, et al.: "Two-dimensional Alterations of Myenteric Plexus in Jejunoileal Atresia"Journal of Pediatric Surgery. 36・3. 474-478 (2001)