1999 Fiscal Year Annual Research Report
実験的小腸移植におけるグラフト関連リンパ組織の解析-免疫抑制剤FK506/FTY720免疫抑制効果-
Project/Area Number |
11671770
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高木 洋治 大阪大学, 医学部, 教授 (40154760)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 正 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (40028569)
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Keywords | 小腸移植 / 動物モデル / 免疫抑制剤(FK506 FTY720) / 粘膜固有層 / 移植片浸潤リンパ球 |
Research Abstract |
腸管関連リンパ組織が豊富な小腸は免疫原性が強いため、移植片生着が困難な臓器である。われわれの研究は、移植片が最終的に拒絶されるか生着するかに関わる免疫応答のなかでも、移植片の腸管壁ことに粘膜固有層を中心とする局所の免疫応答が、最終的な方向決定に最も重要な意義を持つとの観点からの実験である。 同種異系雄性ラット間(DA→PVG)で小腸移植を行い、術後一定期間(14日)免疫抑制剤を投与したのち犠死せしめ、移植片を採取した。移植片はHE染色検鏡にて拒絶度の組織学的評価をしたのち細切し、既に確立した方法により粘膜固有層浸潤リンパ球を採取した。 さらに免疫学的手法とフロー・サイトメトリーにより、それらリンパ球の各サブセット分布の特徴、ならびに活性化状況(IL-2レセプター発現率)を検討した。結果は、FK506投与下(0.3mg/kg/day)の移植片では、浸潤リンパ球は拒絶群に比して少数で(ただしレシピエント/ドナー比は同率)、そのなかでもCD8αβ陽性サブセットが、拒絶群に比し細胞数、分布率ともに低値、しかしIL-2レセプターの発現自身は低下していない、という有意な相違が得られた。つまりFK506による免疫制御では、レシピエントリンパ球の移植片への浸潤抑制が主体であることを示唆された。 一方FTY720投与群においては、当初設定した投与量である0.5mg/kg/dayでの安定した免疫抑制効果が得られないのが現状で、投与量・投与方法を再考している段階である。 次年度の実験では、臨床上の効果が実証されているIL-2RアンタゴニストDaclizumab(Zenapax^<TM>)投与下で、分布・機能面から見た浸潤リンパ球の評価に発展させることを検討中である。
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