2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11671779
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
井川 浩晴 北海道大学, 医学部・附属病院, 講師 (10232159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
守内 哲也 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (20174394)
浜田 淳一 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教授 (50192703)
杉原 平樹 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20002157)
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Keywords | ホメオボックス遺伝子 / HOXD3 / 悪性黒色腫 / 転移能 / 浸潤能 / 運動能 |
Research Abstract |
動物胚の発生過程において形態情報を位置情報に変換する遺伝子はホメオボックス(HOX)遺伝子と呼ばれ、形態形成のプログラムを実行に移すマスター調節遺伝子と考えられてきた。これまでの報告により、HOXD3遺伝子の強制発現が細胞接着や運動性を増強させることからHOXD3が転移・浸潤関連分子の転写を調節している可能性が示唆される。そこで、HOXD3を発現しているヒト悪性黒色腫細胞株A375MにHOXD3アンチセンス発現ベクターを導入し、細胞の運動・浸潤性の変化および運動・浸潤性に関与する遺伝子の発現変化について解析した。 内皮下基底膜への浸潤モデルであるマトリゲルへの浸潤性は、対照細胞クローンおよび親株に比べ、HOXD3アンチセンス発現クローンにおいて有意に低かった。細胞外マトリクス成分であるビトロネクチンおよびラミニン-1に対する接触走化性、ならびにファゴカイネティック・トラック・アッセイで測定された細胞運動性もまた、HOXD3アンチセンスを発現させることによって有意な低下が認められた。また、マトリゲルおよびラミニン-1上に細胞を播種した場合、HOXD3アンチセンス発現株は細胞伸展を示すものが少なかった。 HOXD3アンチセンス発現クローンと対照クローン間におけるmRNAの発現パターンを比較するためcDNAマイクロアレイ解析を行った。その結果、細胞骨格関連蛋白であるcdc42 interacting protein 4(CIP4)、CIP4とホモロジーの高いKIAA0554およびtropomyosin2(TPM2)の発現が、HOXD3アンチセンスを発現させることによって増強することが明らかとなった。TPM2やCIP4の異常発現は、アクトミオシン系の再構成システムに異常をきたし、その結果、細胞伸展や細胞運動の低下を引き起こしていると考えられる。以上の結果より、ホメオボックス遺伝子HOXD3は、浸潤・運動性を制御するマスター調節遺伝子として働いている可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)