2000 Fiscal Year Annual Research Report
免疫不全マウス(aly-/-)におけるT細胞活性化因子の解析
Project/Area Number |
11671819
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Research Institution | Nihon-University |
Principal Investigator |
小宮山 一雄 日本大学, 歯学部, 助教授 (00120452)
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Keywords | aly / IgA欠損 / IL-2 / INF-γ / NK細胞 / SC |
Research Abstract |
口腔粘膜は、食物、細菌、ウイルスなど様々な外来抗原刺激にさらされている。分泌型IgAは粘膜の生体防御因子として、重要な働きをしていることが明らかにされてきた。しかし、アイソタイプスイッチングや、産生の調節、分泌のメカニズムなど未だ十分に解明されているとは言えない。我々は、IgAおよびIgG産生がみられないaly(-/-)マウスを用いて、IgA分泌やIgAレセプターの局在や働きに付いて明らかにしてきた。本研究では、抗体産生や粘膜遅延型過敏症におけるTh細胞の働きに付いて、検討を行った。従来このマウスでみられたイムノグロブリン産生の障害は、細胞分化および活性化に関わるIL-2やINF-γなどのサイトカインの産生障害であることを明らかにした。これらのサイトカインを添加し、抗原刺激を加えることで、抗体産生の一部回復がみられたことからも、Th1細胞、NK細胞、マクロファージから産生されるこれらのサイトカインがaly(-/-)マウスで認められる免疫不全症状の原因の一部であることを明らかにした。また、口腔粘膜過敏症の実験から、特に早期において免疫反応の調節因子としてNK細胞のIL-2やINF-γが重要であることを明らかにした。IL-2産生のシグナル因子のとして、mRNAの上流域の解析を行ったが、このマウスに異常を認めることはできなかった。またproto-oncogene、Jun,Fosの発現を検討したが、ヘテロマウスとの差はみられなかった。しかし、本実験の経過中に、他のグループからNf-kappa-bbinding kinaseの異常が報告され、IL-2,INF-γの欠損について我々のデータが確認された。しかし、我々はこのマウスが、唾液線、肺、膵臓など分泌腺において、リンパ球浸潤を主とする病変を有することを確認しており、この病変の成立はT細胞がIL-2,INF-γと異なった因子で調節されて病巣へ浸潤していることが示唆され、現在、ケモカインを中心に、各臓器における自己免疫様病変の解析を続けている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Komiyama,K. et al.: "Cell and cytokine in oral delayed type hyperplsensitivity (DTH)"Immunology letters. 69(1). 145 (1999)
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[Publications] 岡上真裕: "マウス頬粘膜への遅延型過敏症の誘導および浸潤細胞の動態"日大歯学. 74(5). 540-549 (2000)
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[Publications] Komiyama,K. et al.: "Histopathological and immunohistological analysis in IgA deficient lymphoplasia (aly/aly) mouse"J.Oral Science. 43(6)(未定). (2001)