1999 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病細菌が産生する毒素のアポトーシス誘導機構と細胞内情報伝達系の解析
Project/Area Number |
11671834
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
西原 達次 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (80192251)
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Keywords | 歯周病細菌 / アポトーシス / 毒素 / 細胞周期の停止 / G2 / M期 / 歯周炎 / Bcl-2 / 細胞膨化 |
Research Abstract |
歯周病の直接的原因が,歯面に付着するプラークであることは,現在では疑う余地のない事実である.歯肉溝や歯周ポケットは,解剖学的に口腔の自浄作用を受けにくいこともあり,細菌が停滞しやすい環境となっている.特に,歯周ポケット中は酸素分圧が低く嫌気的環境にあることから,多種多様の嫌気性細菌が定着・増殖する.一般に,組織中で増殖した細菌は毒素や酸素などを産生して組織に損傷を与える.歯周病原性細菌の一つであるActinobacillus actinomycetemcomitansは数種類の毒素を産生する.近年,A.actinomycetemcomintansはこれまで知られていたロイコトキシン以外に,cytolethal distending toxin(CDT)という毒素を産生していることが報告された.一方,我々は,今回の研究でA.actinomycetemcomitansがロイコトキシンやCDTとは異なる細胞死(アポートシス)誘導因子を産生していることを見いだし,その生物学的性状を明らかにした.この因子は,培養上清中に存在することから,タンパク性毒素である可能性が高い.現在,精製中であり,本研究課題のなかで,その生化学的性状を明らかにする予定である.今年度は,この毒素の部分精製標品を用いて,生物学的性状とアポトーシス誘導機構について解析した.まず,この毒素は様々な細胞でG2/M期における細胞周期の停止を引き起こして細胞を膨化させ,さらに培養を続けると,このアポトーシスが誘導されることが明らかとなった.次に,アポトーシス誘導機構について検討したところ,Bcl-2を過剰発現したクローンではアポトーシスが抑制されたことから,我々が見いだした毒素は,その他のアポトーシス誘導因子と同様にBcl-2で阻害可能であることが明らかとなった.次年度は,アポトーシス誘導機序をその他の細胞内タンパクやカスペースなどの関与について詳細に検討していく予定である.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 西原 達次: "身体を蝕むデンタルプラーク-口腔細菌の全身への影響"日本歯科医師会雑誌. 51・11. 13-20 (1999)
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[Publications] Muto,A.et al.: "1,25-Dihydroxyvitamin D_3 induces differentiation of retinoic acid-resistant APL cell line (UF-1)"Blood. 93. 2225-2233 (1999)
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[Publications] Yamamoto,S.et al.: "Anti-proliferative capsular-like polysaccharide antigen from Actinobacillus actinomycetemcomitans"J.Dent.Res.. 78. 1230-1237 (1999)
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[Publications] Koide,M.et al.: "Inhibition of experimental bone resorption and osteoclast formation and survival by 2-aminoethanosulfonic acid"Arch.Oral Biol.. 44. 711-719 (1999)
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[Publications] He,T.et al.: "A novel insertion sequence in the Itx promoter region of Actinobacillus actinomycetemcomitans"J.Periodont.. 70. 1261-2168 (1999)
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[Publications] Ishisaki,A.et al.: "Caspase-3 activation during apoptosis induced by a vacuolar type H^+-ATPases inhibitor"Biol.of the Cell. 91. 507-514 (1999)