2000 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病細菌が産生する毒素のアポトーシス誘導機構と細胞内情報伝達系の解析
Project/Area Number |
11671834
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
西原 達次 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (80192251)
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Keywords | 歯周病細菌 / タンパク毒素 / アポトーシス / 細胞周期停止 / p21 / p53 / 細胞内情報伝達 / CDT |
Research Abstract |
歯周病の病変部に形成される歯周ポケット中には,酸素分圧が低く嫌気的環境にあることから,多種多様の嫌気性細菌が定着・増殖する.一般に,組織中で増殖した細菌は毒素や酵素などを産生して組織に損傷を与える.歯周病原性細菌の一つであるActinobacillus actinomycetemcomitansは数種類の毒素を産生する.近年,A.actinomycetemcomitansはこれまで知られていたロイコトキシン以外に,cytolethal distending toxin(CDT)という毒素を産生していることが報告された.一方,我々は,昨年までの研究でA.actinomycetemcomintansがロイコトキシンやCDTとは異なる毒素を産生していることを見出し,その生物学的性状を調べ,細胞死(アポトーシス)誘導するタンパク毒素であることを明らかにした.そこで,今年度は,この毒素の部分精製標品を用いて,生物学的性状とアポトーシス誘導機構について解析した.あわせて,CDTの増殖抑制効果についても分子生物学的手法を用いて解析した.その結果,新規毒素とCDTで誘導されるG2期での細胞周期の停止には,サイクリン依存性キナーゼを阻害するp21タンパクとガン抑制因子であるp53タンパクの亢進が認められた.さらに,ドミナントネガティブp53を過剰発現させた細胞にCDTを作用させたところ,p21の発現とG2期の細胞周期の停止が認められた.これらのことから,新規毒素とCDTによる細胞周期の停止機構にp21は関与しているものの,p53は関わっていない可能性が示唆された.一方,アポトーシス誘導ということでは,CDTと新規毒素は異なる作用を示すことから考えて,別の経路でアポトーシスが誘導されている可能性が高い.今回の研究期間中にはこの点を明らかにすることができなかったが,今後,この点について詳細に検討していくつもりである.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Hashimoto,S. et al.: "Intracellular apoptosis-inducing factor is induced by a vacuolar type H^+-ATpase inhibitor in B lineage cells"J.Cellular Physiol.. 186. 65-72 (2001)
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[Publications] Kinjo,K. et al.: "Arsenic trioxide-induced apoptosis and differentiation, in retinoic acid-resistant acute promyelocytic leukemia model in h GM-CSF-producing transgenic SCID mice"Leukemia. 14. 431-438 (2000)
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[Publications] Yamato,K. et al.: "Dissociation of bone morphogenetic protein-mediated growth arrest and apoptosis of mouse Bcells by HPV-16E6/E7"Exp.Cell Res.. 257. 198-205 (2000)
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[Publications] Kawamura,C. et al.: "Bone morphogenetic protein-2 induced apoptosis in human myeloma cells with modulation of STAT3"Blood. 96. 2005-2011 (2000)