1999 Fiscal Year Annual Research Report
アロディニア発症機構と制御因子としてのオピオイドの役割
Project/Area Number |
11671843
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
今井 康夫 広島大学, 歯学部, 助手 (30271068)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土肥 敏博 広島大学, 歯学部, 教授 (00034182)
|
Keywords | アロディニア / 痛覚過敏 / マウス / プロスタグランジン / オピオイド / P2プリン受容体 |
Research Abstract |
本研究では,触覚,冷覚等の非侵害性刺激がある条件下で痛みとして感じられる現象,すなわちアロディニアに関して,その成因と制御機構について解明しようとする目的で以下の実験を行った. 1)プロスタグランジン類によるアロディニア誘発実験 マウスの脊髄腔内に3種のプロスタグランジン(PGE2,PGF2α,PGI2)を注入するといずれによってもアロディニアが引き起こされた.このとき同時にHot-Plate法により痛覚過敏が生じていることを確認した.アロディニアはPGE2,PGI2,PGF2αの順に強かった.痛覚過敏はPGF2αで強く,他では弱かった.これらのアロディニアや痛覚過敏はNMDA受容体拮抗作用のあるケタミンによって抑制された. 2)グルタミン酸によるアロディニア誘発実験 グルタミン酸は用量依存的にアロディニアを誘発した. 3)P2プリン受容体アンタゴニストによるアロディニア誘発実験 P2プリン受容体アンタゴニストであるスラミン,PPADS等は少量投与ではPGE2によるアロディニアを抑制し,大量投与では逆に単独でアロディニアを惹起することが見いだされた.PPADSは,PGE2によるアロディニアを相加的に増強した. 現在,P2プリン受容体のどのサブタイプがアロディニアの成立に関連が深いか各種アンタゴニストを用いて検討中である.今後,鎮痛薬でありながら高用量ではアロディニアを引き起こすと言われているモルヒネをはじめとするオピオイド性鎮痛薬との関連についての検討,口腔領域でのアロディニアの実験モデルの開発を重点的に進めていく考えである.
|