2000 Fiscal Year Annual Research Report
坐骨神経結紮によるニューロパチックモデルラットの視床ニューロンの反応性
Project/Area Number |
11671857
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Research Institution | Nihon-University |
Principal Investigator |
坪井 美行 日本大学, 歯学部, 講師 (50246906)
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Keywords | CCI / 視床 / 後索核 / 痛覚過敏 / グルタミン酸受容体 / キシロカイン / MK801 / CNQX |
Research Abstract |
末梢神経損傷時の痛覚発現に後索路-内側網体路(DC-Thalamic tract,DCTT)を経由する感覚情報が,感覚発現に最も重要な中継核である視床核ニューロンの反応性の変化にどのように関与しているかを調べるため,坐骨神経を慢性的に損傷(CCI)した痛覚過敏モデルラットを使い研究を行ってきた。前年度までに,以下のようなことを報告した。 1,CCIを施し痛覚過敏が惹起された動物の視床後内側腹側核(VPL)ニューロンは,Naive群のVPLニューロンと比べ,機械刺激に対しての反応や自発発火が有意に多かった。 2,DCTTを機械的に破壊することによりVPLの侵害受容ニューロンの機械的侵害刺激に対する反応性が強く抑制された。 以上のことから,CCIを施した動物の痛覚過敏の発現にDCTTを経由する入力が関与していることが示唆された(Pain,2000)。 本年度は,後索核(DCN)に脳表面からグルタミン酸受容体のantagonist(MK801とCNQX)を投与することにより,痛覚過敏発現時のVPLニューロンの反応性の変化にDCNニューロンのグルタミン酸受容体が関与するかどうかを調べるために研究を計画した。しかし,VPLにはDCTTだけではなく,脊髄視床路(STT)を経由する感覚情報も入力している。そこで,まずVPLニューロンをDCTT,STTを経由する感覚入力を受けているかどうかで分類し,DCTTを経由する感覚入力を受けているものについて,薬物投与を行った。感覚入力の有無は,それぞれの経路(DCNと脊髄前側索)においたマイクロダイアリーシス用プローブから2%キシロカインを投与し感覚入力をブロックすることにより調べた。その結果,CCIを施すと正常ではほとんど記録されなかったDCTTのみから感覚入力を受けるVPL侵害受容ニューロンが記録され,そのニューロンは,DCNに投与したCNQXに対し容量依存性に機械刺激に対する反応性が低下し,MK801に対しては容量依存性に自発発火の抑制が認められた。これらのことから,痛覚過敏発現には,DCNを経由する視床への感覚入力の変化が関与していることが示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Koichi Iwata: "Medullary dorsal horn neuronal activity in rats with persist temporomandibular joint and perioral inflamation"J.Neurophysiol.. 82(3). 1244-1253 (1999)
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[Publications] Kenji Miki: "Dorsal column-thalamic pathway is involved in thalamic hyper excitability following peripheral nerve injury : a lesion study in rats with axperimental mononeuropathy"Pain. 85(1/2). 263-271 (2000)
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[Publications] 野村洋文: "眼窩下神経CCIモデルラットに対するgabapentin投与の有効性に関する研究-第1報 Fos-LI cellsの発現様式を指標にした研究-"日本歯科麻酔学会雑誌. 29(1). 14-23 (2001)