2000 Fiscal Year Annual Research Report
口腔内組織での活性酸素種フリーラジカルのモニタリング:バイオセンサーの開発と病態モデルへの応用
Project/Area Number |
11671858
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
塗々木 和男 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (90139577)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 昌一 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (60220795)
高橋 俊介 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (60206810)
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Keywords | 口腔組織 / 活性酸素 / nitric oxide / 反応性充血 / 歯肉 / 局所循環調節 |
Research Abstract |
一般に、生体組織の恒常性維持に循環調節機構が重要であり、反応性充血はその生理学的機構の一つとして関与している。反応性充血は合目的的に虚血の組織に対する酸素供給改善をはかる調節機構と考えられる。そして心筋や脳における反応性充血惹起因子としてはアデノシンをはじめ内皮依存性過分極因子(EDHF)、nitric oxide(NO)ラジカルなどがkey mediatorとして関与していることが知られている。しかし、口腔内組織における反応性充血惹起メカニズムの詳細はまだ明らかでない。口腔領域とくに歯肉の反応性充血において、NO(nitric oxide)の関与を従来の薬理学的検索法ならびにNO電極を用いて直接検討した。 【実験方法】体重8〜10kgのビーグル犬を用い、pentobarbital sodium30mg/kg,i.v.で麻酔した。右側外頸動脈に体外式電磁血流計プローブと圧トランスジューサーを装着したポリエチレンチューブをdouble cannulationした。外頸動脈血流量は電磁血流計、直流アンプを介し、また血圧はキャリーアンプを介して、それぞれレコーダー上に記録した。歯肉組織血流量は、カニュレーション同側下顎犬歯の付着歯肉部を測定エリアとし、非接触型レーザードップラー血流計を用いて測定した。反応性充血は,外頸動脈をクレンメにより閉塞することによって惹起させた。閉塞負荷時間は,30,60秒間とし,閉塞解除後の外頚動脈および同側下顎歯肉における血流量変化を同時に観察した。また,歯肉血流量測定エリアへの圧迫・解除についての効果も検討した。頸動脈および歯肉組織に発現した反応性充血の消長についての薬理学的検索のため,各種薬物を同側外頚動脈より投与した。【結果・考察】外頸動脈閉塞解除後,阻血時間に依存した外頚動脈血流量の増加が観察された。この時,外頚動脈圧は変化しなかった。一方,歯肉では,明瞭な反応性充血は惹起しなかった。これに対し,歯肉組織への直接圧迫(30、60および300秒間)と,その解除は,組織に圧迫時間依存性の血流量増加が観察された。このとき,外頚動脈血流量と外頸動脈圧には変化が認められなかった。NO合成阻害薬であるNw-Nitro-L-Arginine Methyl Ester(L-NAME)30mg/kg.i.v.投与60分後,外頸動脈血流量の増加反応および組織圧迫による歯肉反応性充血は共に抑制された。L-NAME投与により外頚動脈圧は僅かに上昇した。また、NO電極を用い経時的に歯肉のNOをモニターし、歯肉圧迫時間依存性にNOが増加した。以上の結果から,歯肉組織を含めた外頸動脈から血液供給を受ける領域での反応性充血にNOが関与することが明かとなった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 塗々木和男: "金属含有酵素によるルミノール化学発光"磁気共鳴と医学. 11. 37-40 (2000)
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[Publications] 高橋俊介: "一酸化窒素(NO^・)によるウサギ心室筋原線維収縮特性の変化"磁気共鳴と医学. 11. 103-106 (2000)
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[Publications] 塗々木和男: "生体内一酸化窒素(NO)実験プロトコール"共立出版. 8 (2000)