2001 Fiscal Year Annual Research Report
ラット皮質味覚野での反応性興奮の発生の時間的及び空間的拡がりの研究
Project/Area Number |
11671860
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Research Institution | Aichi-Gakuin University |
Principal Investigator |
横田 たつ子 愛知学院大学, 歯学部, 助手 (70192416)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白水 敬昌 愛知学院大学, 歯学部, 助手 (80308791)
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Keywords | 味覚 / 大脳皮質 / 光学測定 / 膜電位感受性色素 / 電気性味覚 / 誘発電位 / ラット |
Research Abstract |
膜電位測定装置(浜松ホトニクス・Argus50)を用いて、口腔内味刺激に対する大脳皮質味覚野での興奮伝播の時間的・空間的拡がりを調べることを目的とした。 ウィスター系ラットを、人工呼吸ウレタン麻酔下で維持した。皮質味覚領域が水平になるように脳固定装置に固定し、開頭後、硬膜を取り除き、膜電位感受性色素(di-2-ANEPEQ)を浸透させた。舌電気刺激の直前に味溶液(0.2M NaCl(N)、0.03M HC l(H)、0.15M NaCl(S)、NとHの混合液(N+H))を滴下し、味質による光学応答の違いを調べた。 舌陽極電気刺激による光学応答のピーク潜時は約15〜45msで、誘発電位のピーク潜時(17〜37ms)とほぼ一致した。また、舌陰極電気刺激では、光学応答のピーク潜時(8〜10ms)は、誘発電位のピーク潜時(10〜14ms)とほぼ一致した。本研究で得られた光学応答のピーク潜時は、誘発電位ピーク潜時(文献:約30〜40ms)とほぼ一致したこと、光学応答が現れた部位は組織標本から皮質味覚領域であることから、舌陽極電気刺激による電気性味覚を表わすものと考えられる。舌陽極電気刺激による光学応答ピーク潜時は、舌陰極電気刺激時に比べ長かった。このことは陰極電気刺激が、舌神経および鼓索神経を直接刺激すると推定されるのに対して、電気性味覚が陽性電流によって味細胞膜周辺にイオンが電気泳動的に蓄積されて起こることに因ると考えられる。 光学応答は、口腔内に滴下した昧の種類にかかわらず、皮質のほぼ同じ領域に出現した。これは、皮質味覚領域でのN-、H-、NH-ベスト・ニューロンの混在を示唆する。しかし、Nまたは、N+Hの滴下時の陽極電気刺激による光学応答は、HまたはS滴下時よりも広い領域で認められる傾向であった。これは、電気生理学研究でN-ベスト・ニューロンが最も多く記録されることと一致する。
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