2000 Fiscal Year Annual Research Report
化学療法併用多分割放射線治療による口腔癌の局所制御と晩期合併症の改善に関する研究
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11671867
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
藤田 實 広島大学, 歯学部, 助教授 (90116658)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広川 裕 広島大学, 医学部, 助教授 (40116653)
内藤 久美子 広島大学, 歯学部, 助手 (10155632)
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Keywords | 口腔癌 / 放射線治療 / 多分割照射 / 化学療法 / 晩期合併症 |
Research Abstract |
本研究では口腔癌を対象として多分割瀟洒を行い治療成績の改善と晩期副作用の発生頻度を明らかにするとともに、その低減の可能性を明らかにすることを目的として臨床的検討を行った。1990年から1997年までに1日2回照射法で治療された口腔扁平上皮癌症例のうち、根治照射が行われた73例(T1、7例;T2、34例;T3、25例;T4、9例)が引き続き追跡された。治療終了時17例が原発非制御で前回までの経過観察で9例が局所再発したが、この後さらに3例が5年から7年の間に局所再発した。これらの再発症例はいづれも制御されず原病死した。再発頚部リンパ節転移非制御は9例にみられたが、経過観察中にあらたに現れた症例はなかった。新たな重複癌が9例に生じたが、このうち5例はこれによって死亡した。T別の局所率は、T1で78%、T2で68%、T3で10%、T4では13%となった。今回までの経過観察では、晩期副作用としての骨障害の出現がもっとも大きな臨床的問題であることが明らかになってきた。放射線治療終了後1年から2年半までの間に歯根膜腔の拡大から始まる放射線骨障害が生じ始め、1年から3年の期間の間にしだいに重篤化し、一部は歯の喪失のみで留まる場合もあるものの3例では病的骨折まで生じ、臨床的対応に苦慮する事態が生じてきた。不用意な抜歯、歯の脱落後の感染が主な直接的原因ではあるが、基本的には顎骨に対する放射線の影響が存在する。しかし、同様な線量であっても障害の発生しない症例もあることからなんらかの異なる素因、個体差あるいは嗜好品、また口腔衛生状態が関与しているように思われる。しかし、これまでのところそれを特定するまでに至っていない。最終年度には、1回照射線量の異なる治療法の成績を比較すると共に、骨障害の誘因を追求することを目標のひとつに加える予定である。
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