2001 Fiscal Year Annual Research Report
化学療法併用多分割放射線治療による口腔癌の局所制御と晩期合併症の改善に関する研究
Project/Area Number |
11671867
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
藤田 實 広島大学, 歯学部, 助教授 (90116658)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広川 裕 広島大学, 医学部, 助教授 (40116653)
内藤 久美子 広島大学, 歯学部, 助手 (10155632)
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Keywords | 口腔癌 / 放射線治療 / 多分割照射 / 化学療法 / 晩期合併症 |
Research Abstract |
口腔癌に対する放射線治療成績の改善を図るために、新鮮扁平上皮癌症例82例を対象に多分割放射線治療単独もしくは化学療法を併用した多分割放射線治療が行われた。T1及び2症例の割合が高かったこと、救済手術の寄与が高かったことなどの寄与があったため、5年生存率は比較的高く全体で46%であった。多分割照射単独治療では局所制御率が大きく改善されると思われる要素はなかったが、化学療法を併用することによって制御率はやや向上した。局所制御率では、放射線量と併用化学療法の影響が原発腫瘍のサイズによって現れた。低いT病期では制御率が高く、従来手術が治療の主体であった口腔癌のうち特に頬粘膜癌は、形態・機能を温存するという立場から化学療法併用多分割放射線治療のよい適応になるものと考えられた。一方、局所進行癌は従来と同様の低い制御率であったが、手術非適応例を適応例にdown-stageさせることによって局所制御率を向上させる可能性のあることが示された。しかし、70Gy以上の照射を行った症例では、晩期合併症としての歯槽骨及び顎骨の変化が強度に現れた。これらの晩期合併症の発生は治療後のQOLに大きく影響を及ぼすことから歯科の立場からは全口腔単位での綿密な管理と経過観察の重要性が再認識された。しかし、歯が存在することに起因する合併症であることを考慮すると、化学療法併用多分割照射は治療期間の限られた時期に用いることが治療成績の改善とともに晩期合併症を減少させる上で重要であろうと考えられた。
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