1999 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト口腔粘膜上皮幹細胞の同定とその動態に関する検討
Project/Area Number |
11671874
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
川辺 良一 横浜市立大学, 医学部, 講師 (00195140)
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Keywords | 口腔粘膜 / 幹細胞 |
Research Abstract |
ヒト口腔粘膜上皮組織における基底細胞の段層性について検討し,その幹細胞を同定する目的で,低親和性神経成長因子受容体(75kd nerve growth factor low-affinity receptor,NGFR)を幹細胞のマーカーとして用いて研究を行った.横浜市立大学医学部口腔外科で採取されたヒト口腔粘膜健常上皮の凍結標本を対象として,抗ヒトNGFR抗体を用いた免疫組織化学間接法によりFITC標識を行い,共焦点レーザー顕微鏡によってその蛍光強度を測定し,抗ヒトNGFR抗体陽性細胞を同定して,その数・分布を検索した. 検討の結果,抗NGFR抗体陽性細胞は,ヒト口腔粘膜基底細胞層にのみ存在し,強陽性細胞が数個連続して集簇して認められた.さらに,ヒト口腔粘膜では,その部位・組織構築により,陽性細胞の分布が異なることが明らかとなった.すなわち,舌背部の粘膜上皮においては,一次乳頭の乳頭部口腔側最浅部位に強陽性細胞が集簇するのに対し,発達した上皮脚の先端部の基底細胞では抗NGFR抗体陰性であった.一方,二次乳頭では,この関係が逆となっていた.歯肉においては,抗NGFR抗体強陽性細胞の集簇は,上皮脚先端部と乳頭部口腔側最浅部位のいずれかに認められた.上皮脚の発達の悪い頬粘膜では,6-10細胞の抗NGFR抗体強陽性細胞の集簇が,基底膜に沿って周期的に存在していた. 現在、健常粘膜および口腔粘膜疾患を対象に,組織切片上にて抗NGFR抗体と同時に,細胞増殖マーカー・細胞接着因子・成長因子等の検索を併せて行い,ヒト口腔粘膜上皮組織幹細胞とその動態,およびその細胞系列の特性を検討している.
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