1999 Fiscal Year Annual Research Report
骨吸収亢進時の高Ca^<2+>イオン濃度における歯槽骨由来骨芽細胞の動態
Project/Area Number |
11671887
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
前野 正夫 日本大学, 歯学部, 助教授 (60147618)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 直人 日本大学, 歯学部, 講師 (10226532)
伊藤 公一 日本大学, 歯学部, 教授 (90102607)
大塚 吉兵衛 日本大学, 歯学部, 教授 (50059995)
伊藤 英美 日本大学, 歯学部, 助手 (90297838)
大島 光宏 日本大学, 歯学部, 助手 (30194145)
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Keywords | 歯槽骨 / 骨芽細胞様細胞 / カルシウムイオン / 細胞増殖 / アルカリホスファターゼ / 細胞外マトリックス成分 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
歯槽骨片は,本学歯科病院に来院した若年齢者(20歳以下)あるいは高年齢者(55歳以上)の外科処置を必要とする患者から外科的に削除したものを用いた。採取した歯槽骨片を酵素溶液で処理後,骨片から外生した歯槽骨由来骨芽細胞をウシ胎児血清(FBS)と抗生物質を含むα-MEM培地で培養し,2〜3代継代培養して実験に用いた。細胞をCa^<2+>イオンで刺激する際の培養液は,10%FBSを含むα-MEMに終末濃度で1.8,2.5,5および10mMになるように塩化カルシウム(Ca^<2+>イオン)を添加して調製した。 細胞増殖に及ぼすCa^<2+>イオンの影響を,マイクロプレートに細胞を播種して培養3,5,7,10,14,21および35日目に細胞数を測定して調べた。その結果,若年齢者および高年齢者ともに,低濃度(1.8および2.5mM)のCa^<2+>イオンでは培養3日目から対数的に増加し7日目には定常期に達した。一方,高濃度(5および10mM)のCa^<2+>イオンでは,3日目までは低濃度と同様に増加したが,それ以降はしだいに減少した。アルカリホスファターゼ活性値は,両年齢者ともに低濃度のCa^<2+>イオンでは培養日数に伴ってしだいに上昇し,21日目には最大活性値に達した。一方,高濃度のCa^<2+>イオンでは10日目の5mM添加でわずかに活性値が上昇したが,10mM添加では35日目までほとんどその影響は認められなかった。石灰化物形成は,両年齢者ともに低濃度のCa^<2+>イオン濃度では35日目まで認められなかった。 細胞外マトリックス成分の遺伝子発現をmRNAレベルでRT-PCR法によって調べた。なお,発現を調べる際の培養日数は,細胞増殖に及ぼすCa^<2+>イオンの影響を調べた結果を踏まえて3日目までとした。その結果,I型コラーゲンの発現は,両年齢者ともにCa^<2+>イオン濃度依存的に増大し,5mMのCa^<2+>イオンの添加によって最も強く認められた。骨シアロタンパク質およびオステオカルシンの発現は,両年齢者ともに低濃度ではほとんど認められず,高濃度のCa^<2+>イオン濃度で強く認められた。
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