1999 Fiscal Year Annual Research Report
Er:YAGレーザーによる初期齲蝕治療の確立とその臨床応用
Project/Area Number |
11671900
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
原口 克博 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (80198902)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荊木 裕司 北海道医療大学, 歯学部, 助教授 (30139604)
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Keywords | Er:YAGレーザー / 小窩裂溝齲蝕 / 試作チップ |
Research Abstract |
申請者が交付科学研究費の給付によりおこなった研究とその成果を以下に示す。 Er:YAGレーザーを応用した小窩裂溝齲蝕の選択的な除去法の確立を目的として、試作チップを開発した。本チップの特性と照射面の性状について光学顕微鏡および電子顕微鏡観察を行いその有用性について検討した。 レーザー装置はErwin(ERW1:HOYA、MORITA)を用いた。試作チップはコアの直径600μm、先端形状は円錐形で角度はl00°である。照射条件は,チップ先端エネルギー:75mJ,10PPS,照射距離:0mm,注水条件:チップ先端よりスプレー注水(1.5〜2.0ml/min)の各条件で行った。なお,抜去牛前歯より切り出した,エナメル・象牙質のブロックを作製し被削材料とし,#1000の耐水研磨した平面を用いた。この被削材料の平面と断面をSEM観察した。さらにヒト抜去歯の小窩裂溝についても同条件で照射した表面形態についても観察した。 エナメル照射面では,従来型の平頭コンタクトチップ照射の場合に観察された残留破壊粉の溶解層と思われる一層が付着していることが多かったが,このチップの場合ではほとんどのSEM写真でその溶解層が観察されなかった。また,小柱構造も観察された。象牙質照射面では,レーザー照射面特有の魚鱗状形態は観察されるものの,従来のチップの場合と比較すると凹凸の少ない平坦な面が観察された。象牙細管の開口も観察された。このことは,チップの形状が円錐形であることにより,破砕粉の排出が容易に行われるためと考えられる。破壊深さはエナメルで195μm,象牙質では575μm程度であった。含水量の少ないエナメルで浅くなる傾向は,従来型チップと同様の傾向であった。象牙質照射の断面観察では,コルべン状のアンダーカットのある形態が観察された。これは,本チップのレーザー照射パターンが,側方に拡散するためと考えられる。また,ヒト抜去歯小窩裂溝部照射面の観察でも同様に溶解層は観察されず,エナメル小柱が観察された。以上の所見から本チップでの小窩裂溝齲蝕の除去の可能性が示唆された。今後は臨床応用における小窩裂溝齲蝕の除去の照射条件,照射方法について検討を続けたいと考えている。
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