2000 Fiscal Year Annual Research Report
各種活性酸素により修飾されたLPSがVitronectinに対して与える影響
Project/Area Number |
11671906
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
武内 ひとみ 日本大学, 松戸歯学部, 副手 (10130585)
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Keywords | 歯髄細胞 / vitronectin / Lipopolysaccharide / 活性酸素種 |
Research Abstract |
近年、炎症など種々の疾患の発症、病態形成に深い関与があると報告され注目されている活性酸素は容易に反応対象組織を酸化することが知られていることから、LPSも過酸化をうけ連鎖反応的に過酸化を周囲組織に引き起こすことが推測される。しかし,これまでにLPSに対する活性酸素種の影響を検討したという報告はあまり類を見ない。 これら活性酸素種は現在、electron spin resonnance(ESR)の技術により、高感度に定性、定量的に捕捉することが可能なことから、その質的、量的な研究も進んでいる。また、superoxide dismutaseのようにこれら活性酸素種を選択的に消去する薬剤についても議論されている。特に、PBN(N-t-Butyl-α-phenylnitrone)は従来のESR測定時の活性酸素種捕捉剤としての性質から、活性酸素の消去剤としても優れており、生体為害性を持たないことからその生体利用が考慮され始めてきている。 本研究では、活性酸素(hydroxyl radical、superoxide、hypochlorous acidなど)のLPSに対する影響、活性酸素による作用を受けたLPSで歯根膜由来線維芽細胞を刺激した際に発生してくるvitronectinの量的な差異および、PBNによるLPSの作用の変化をESR spin trapping法および、PCR法など一連の生化学的手法により検索した。 その結果、LPSは活性酸素種により過酸化などの影響を受け、特性を変化させることを示す結果が得られた。また培養歯髄細胞(線維芽細胞)において、vitronectinの産生は、自体活性酸素による作用を受けたLPSまたは、活性酸素種により影響を受けることが確認された。 これにより、根管内洗浄剤として殺菌作用のみならずLPSをも無毒化する新たな薬剤の可能性が示唆された。
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