2000 Fiscal Year Annual Research Report
唾液量、食品咬断率、咀嚼スコアからみた高齢者の咀嚼能力に及ぼす義歯装着の効果
Project/Area Number |
11671927
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Research Institution | NIIGATA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
野村 章子 新潟大学, 歯学部・附属病院, 助手 (80134948)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 敦子 新潟大学, 歯学部, 助手 (90168097)
河野 正司 新潟大学, 歯学部, 教授 (50014098)
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Keywords | 咀嚼機能 / 唾液分泌機能 / 食品咬断率 / 義歯 / デンタルプレスケール / ゼリーの製品化 / 産学連携 / 加齢 |
Research Abstract |
部分的に歯の喪失した症例について、義歯の装着が咀嚼能力を回復する効果を明らかにする目的で、唾液分泌量、咀嚼回数、ゼリーを用いた食品咬断率、質問票を用いた食品スコアを総合的に評価する研究を行った。 1.義歯の治療を行いながら症例数を増やし、義歯装着と義歯非装着の条件で安静時唾液とパラフィンワックス咀嚼時の唾液分泌速度を測定した。パラフィンワックスの咀嚼回数や、デンタルプレスケールによる最大咬合力も同様の条件で測定した。義歯の装着によって、安静時唾液分泌速度には有意な差が認められなかったものの、パラフィンワックス咀嚼時の刺激唾液分泌速度と最大咬合力は有意に上昇し(p<0.001)、咀嚼ストロークが減少した(p<0.005).2.産学連携によって高齢義歯装着者に応用しやすく、食品咬断能力を評価できるような成分比の異なる2種類のゼリーを製品化し、あらたに分析した。2種類のゼリーにおけるテクスチュロメータの破断応力には有意差があり(p<0.001)、原型から64分割したゼリーの表面積と、これらの分割片から溶出するグルコース濃度との間には強い相関が認められた(R=0.98,p<0.0001)ので、このゼリーが食品咬断率の測定に適していることが分かった。3.診療室に隣接した検査環境を整備したことから、唾液分泌機能と咀嚼能力を短時間で評価することが可能となった。今後の予定:義歯が唾液分泌機能や咀嚼能力に及ぼす効果をより多くの症例で検証することと、これらの研究成果を踏まえて、高齢者の摂食・嚥下を賦活化する研究計画を進めたい。歯科補綴学、加齢歯科学、口腔生理学、食品化学など多くの研究機関で産学協同研究プロジェクトとして総合的に発展することが望まれる。
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[Publications] 五十嵐敦子: "学外施設を利用した介護実習に対する学生の反応"日本歯科医学教育学会雑誌. 15(2). 257-261 (2000)
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[Publications] Igarashi N: "Head movements and neck muscle activities associated with the jaw movement during mastication in the rabbit"Brain Research. 871(1). 151-155 (2000)
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[Publications] 河野正司: "歯の喪失の予防-咬合の保全・確保-少数歯の残存と保全"日本歯科医師会雑誌. 19. 89-96 (2000)
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[Publications] 植田耕一郎: "摂食・嚥下障害患者への口蓋床に関する研究-第1報 厚径の違いが嚥下機能に与える影響について-"新潟歯学会雑誌. 30(2). 183-189 (2000)
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[Publications] 加藤一誠: "Videofluorographyの支援による有床義歯補綴治療"日本補綴歯科学会雑誌. 44(5). 625-632 (2000)
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[Publications] 渡辺誠: "高齢者の口腔ケアと口腔機能に関する総合研究"日本歯科医師会雑誌. 19. 97-109 (2000)
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[Publications] 野村章子: "産学連携による口腔機能改善用食品の開発"新潟歯学会雑誌. 30(2). 256 (2000)
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[Publications] 河野正司: "加齢による口腔機能の変化はどこにどのように現れるか"日本補綴歯科学会雑誌. 44. 29 (2000)
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[Publications] 河野正司: "「咬合・咀嚼機能が快適な生活(QOL)に果たす役割」 QOLに貢献するための咬合治療の基本とその実践"日本歯科医師会雑誌. 52(11). 62-63 (2000)
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[Publications] 河野正司: "咬合状態に起因する多臓器の異常,特集5咬合治療と全身の健康状態,"財団法人口腔保健協会. 262 (2000)