2001 Fiscal Year Annual Research Report
破壊力学の手法による耐久性に優れる接着性補綴物支台歯形状の適正化
Project/Area Number |
11671942
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
篠原 直幸 鹿児島大学, 歯学部・附属病院, 助教授 (40136891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門川 明彦 鹿児島大学, 歯学部, 助手 (00169533)
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Keywords | 接着性補綴物 / 有限要素解析 / 支台歯 / 合着材 / ミーゼス応力 |
Research Abstract |
接着技法の発達により接着性補綴物は一般的な補綴技法となってきたが、接着性補綴物の脱落率は今でも極めて高い。脱落原因として、不適切な接着操作、歯牙や補綴物の不適切な表面処理、補綴物の機械的強度の不足、支台歯形態の維持力不足などが考えられる。 これらの脱落原因のうち、支台歯形態については接着試験と数値解析の面から研究が行われているが、接着性補綴物の実際の形状をそのままモデル化したものではなく不十分である。本研究では、補助的維持形態のgrooveやwrap roundなどが付与された支台歯をモデル化し、咬合力が補綴物や装着材料にどのような影響を及ぼすかを解析する為に、コンピューターシステムを作り、咬合時に最も破壊されやすい装着材料での応力変化に注目して、補綴物の脱落に至りにくい支台歯形状を求めることが目的である。 平成11年度からの研究より、(1)接着材のミーゼス応力は、同一条件下ではWing Typeが最も小さく、他の支台歯形状とは大きな差がみられた。(2)金属厚みが増すに伴い、接着材のミーゼス応力は低下した。(3)チタンの場合が、金バラ合金の場合より接着材のミーゼス応力は小さかった。(4)PMMA系レジンの方がコンポジットレジンの場合より接着材中のミーゼス応力は小さかった。等の結果を得た。 本年度は、二つのことを目標にした。一つ目は、より現実の構造に近づける為に、九州大学応用力学研究所の協力によって、歯牙を含む上顎モデルをスライスした断面を作り、スライス面から歯牙の座標を読み取り、そのデータを元とした平面を積み重ね、複数歯牙の3次元モデルを作成することができた。そして、この3次元モデルをもとに、支台歯形状を変化させた接着性補綴物モデルを作製しているところである。パラメータとして、歯槽骨の高さなどをパラメータとして、歯槽骨の吸収した場合での接着性補綴物の挙動を調べる予定である。 二点目は、破壊力学的な手法を使うために、エネルギー注目した解析を行っている。歯軸方向と垂直な面での2次元モデルを作成し、水平方向変位と歯軸回りの回転を剛性により代表させることによりモデルに組み込んだ。パラメータとして、歯牙の動揺度、支台歯形状、支台歯と補綴物間の亀裂成長などを考え、荷重点でのエネルギー、各々の変位を代表する剛性(スプリング)のエネルギーを比較することにより、接着性補綴物の挙動を解析している。 最終的には、これら二つの方法から、最も壊れやすい装着材料に注目し、装着材中の応力の変化から、脱落しにくい接着性補綴物支台歯形状を総合的に求めることができると思われる。
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