2000 Fiscal Year Annual Research Report
口腔白板症における発癌機序の解析および治療法の確立
Project/Area Number |
11671971
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
千葉 逸朗 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (50250460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 一三 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (70170305)
進藤 正信 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (20162802)
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Keywords | 白板症 / p53遺伝子 / 前癌病変 / 発癌 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、口腔癌および前癌病変(白板症、扁平苔癬)、前癌状態(粘膜下線維症)の組織を用いて、遺伝子異常の検索を行った。噛みタバコの習慣のあるスリランカの口腔癌ではp53遺伝子のエクソン5に遺伝子の一部欠失を含む比較的大きな遺伝子異常が数多く認められた。これは日本人の口腔癌やDMBA誘〓ハムスター頬粘膜扁平上皮癌ではあまり認められず、噛みタバコ中にp53遺伝子のエクソン5に特異的に異常をきたす因子が含まれていることを示唆している(International Journal of Cancer,77:839-842,1998)。またこれらの異常が癌化のどの段階で起こっているか、また、前癌病変の癌への「なりやすさ」、クロナリティを判定するために、多重病変を有する患者の癌組織、あるいは前癌病変の組織を用いて遺伝子変異、染色体上の変異を検討し、公表した(第90回米国癌学会)。今回新たに前癌病変、前癌状態の症例を169例についてp53遺伝子変異の検索を行い、白板症で8/115(7%)、扁平苔癬で3/22(14%)、粘膜下線維症で2/32(6%)に異常を認めた。このp53遺伝子の異常を同定する方法としてyeast functional assayを用い、より簡便、正確な診断を可能にした。これらの結果は第5回国際癌予防シンポジウム(Geneve)にて公表した。p53遺伝子に異常を認めた症例は今後経過を観察し、悪性化の有無を確認する。また、特に粘膜下線維症は口腔粘膜全体が侵される病変であり、field cancerization theoryを考慮した治療法の開発が必要である。
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