1999 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌に対する機能と器官温存を目指した化学療法と放射線同時併用療法のPETによる評価
Project/Area Number |
11671982
|
Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
北川 善政 福井医科大学, 医学部・附属病院, 講師 (00224957)
|
Keywords | 扁平上皮癌 / 口腔癌 / 器官温存 / 機能温存 / 動注化学療法 / 放射線療法 / PET / フルオロデオキシグルコース |
Research Abstract |
Positron emission tomography(PET)はポジトロン標識薬剤を用いて、生体の代謝情報を定量的な画像として表示する優れた診断法である。悪性腫瘍においてはグルコース代謝が亢進していることが知られ、PETを用いた腫瘍診断にはトレーサーとしてグルコースのアナログである^<18>F-fluorodeoxyglucose(FDG)が最もよく用いられている。FDG-PETを用いることにより、癌の検出のみならず従来の形態診断では得られない癌の増殖や代謝を反映した情報が得られることから、癌診療面においても貢献する潜在能力がきわめて大きいと考えられる。われわれは、頭頸部悪性腫瘍患者の治療前および放射線化学療法後にFDG-PETを撮影し、診断および治療効果について定量的に評価した。 頭頸部扁平上皮癌23例に対して、放射線併用動注化学療法(THP-ADM,5-FU,CBDCA)を行い、FDG-PETで評価した。全例、治療前と放射線併用動注化学療法後にPET検査を施行し、臨床的、組織学的治療効果と比較した。FDGの異常集積を示す部位に関心領域(ROI)を設定し、standardized uptake value(SUV)を用いて腫瘍内取り込み量を定量した。本療法により奏効率100%の結果が得られた。治療前のPET画像では、全例原発病巣に一致した部位にFDGの異常集積を示した。治療前pre-SUVは、治療後(post-SUV)に有意に減少した。pre-SUVから治療効果の予測が、post-SUVから残存腫瘍の有無について予測が可能であったことから、FDG-PET診断により手術の回避(8例)あるいは縮小手術(15例)が可能となった。FDG-PETはQOLの向上につながる極めて有用な診断法と考えられた。
|