2000 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌に対するHSVtk遺伝子とGCVを用いた自殺遺伝子治療に関する研究
Project/Area Number |
11671984
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
林 康司 名古屋大学, 医学部, 講師 (10238131)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 実 名古屋大学, 医学部, 教授 (00151803)
各務 秀明 名古屋大学, 医学部, 講師 (80242866)
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Keywords | 自殺遺伝子治療 / アデノウイルスベクター / アデノ随伴ウイルスベクター / HSVtk遺伝子 / ガンシクロビル |
Research Abstract |
頭頚部癌の治療成績の向上を目的とした新たな治療法として遺伝子治療の開発研究が進められている。いくつかあるストラテジーの中で単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子(HSVtk)とガンシクロビル(GCV)を用いる自殺遺伝子治療はその臨床応用が比較的早期になされる可能性があり注目されている。これまでに、In vitroにおいてアデノウイルスベクター(Ad)およびアデノ随伴ウイルスベクター(AAV)両ベクターの導入効率および殺細胞効果を検討し、HSVtk/GCVを用いた自殺遺伝子治療が有用であることを確認した。そこで、われわれは、In vivoにおけるAd、AAVを用いてヒト口腔扁平上皮癌細胞に対する自殺遺伝子治療の効果を検討した。 まず、Bulb/cヌードマウスの右側背側部にヒト口腔扁平上皮癌細胞株SASを移植し、直径約1cmの腫瘍塊を形成した。導入効率を評価するため、その腫瘍塊にlacZマーカー遺伝子を含むAd-lacZ,AAV-lacZを直接注入した。その結果、注入48時間後、針の周囲の腫瘍細胞に遺伝子が導入されていることをを確認した。次に、HSVtk/GCV自殺遺伝子治療の抗腫瘍効果を評価するためにHSVtk遺伝子を含むAdtkおよびAAVtkを感染させ、引き続いて抗ウイルス剤のGCVを添加し経時的に腫瘍経を測定した。その結果、感染36日後、Adtk感染群においてコントロール群と比較して58.6%の腫瘍縮小を認め、AAVtkにおいては、45.4%の腫瘍縮小を認めた。また、AAVtk二回投与群では70.9%の腫瘍縮小を認めた。 これらのことより、AdおよびAAVを用いたHSVtk/GCV自殺遺伝子治療は、口腔扁平上皮癌に対して有用であることが示唆された。
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Research Products
(1 results)