2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11671995
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
川崎 五郎 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (60195071)
|
Keywords | PCB / 環境汚染物質 / KC400 / 発癌 / p53 / マウス |
Research Abstract |
本年度の研究は,環境汚染物質の口腔粘膜における発癌性を調べることを目的とした.前年度までの実験でPCB等の有機塩素化合物の投与により口腔組織に影響を及ぼすことを動物実験および細胞培養実験を行ったので,本年度は,培養系での実験をさらに発展させることを目的として実験を行った.環境汚染物質としては入手可能であったKC400を用いた.培養細胞として,マウス線維芽細胞,血管内皮細胞等を用いて各々の細胞株に各種濃度のKC400を加えMTT試薬を用いてその増殖能をELISA法にて測定した.細胞の種類によってKC400感受性の相違が認められた.毒性試験と同様の濃度のKC400を細胞に作用させ,PCR-SSCP法によりp53の検討を行い,変異型p53の出現を有する細胞を検索した.その結果KC400に対する感受性の高い細胞に変異型p53が出現する傾向が認められた.一方,p53の野生型と変異型のわかっている癌細胞培養株において各種濃度のKC400を作用させたが,増殖能とp53変異との聞に相関性は認められなかった.p53のターゲット遺伝子であるp53R2に関しても検討を行った.すなわち,RT-PCR法によりp53R2mRNAの発現を検索しp53の変異型との相関について検討したが,変異型p53の出現とp53R2mRNAの発現に相関性が認められた.p53と同様に発癌に重要とされているRbについては,PCR-SSCP法による変異型Rbの出現はみられなかった.アポトーシス関連酵素としては,DNAエンドヌクレアーゼ,トランスグルタミナーゼ,プロテインキナーゼC,トポイソメラーゼについて測定を行ったがp53の変異型発現との相関は認められなかった. KC400がp53の変異を惹起することから発癌に関与する可能性があることが示峻された.
|