1999 Fiscal Year Annual Research Report
器官培養マウス口蓋発生におけるアポトーシスの関与について
Project/Area Number |
11672013
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
市ノ川 義美 東京歯科大学, 歯学部, 助手 (20203101)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 隆 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (00096504)
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Keywords | 口蓋裂 / アポトーシス / 口蓋発生 / 器官培養 |
Research Abstract |
口蓋裂の発生は一般的に多因子しきい説によるものとされており、口蓋板癒合部の上皮細胞を観察する際、正中上皮索の細胞動態は母体の内的環境因子、胎児の口蓋組織周囲の環境により少なからず影響を受けると考えられる。そこでマウス口蓋組織の無血清器官培養を行い、in vitroでのマウス正常口蓋発生にみられる正中上皮索消失時のアポトーシスの関与について形態学的観察および免疫組織化学的な検討を行っている。 実験および結果 1. 器官培養 胎齢15日21時間から16日9時間の間(培養54時間〜66時間)で培養を行った。 2. 形態学的観察 培養後、Nile blue生体染色およびHE染色を行った。Nile blue生体染色像において、多くに口蓋板接触が観察された。口蓋正中部の口蓋板接触面ではNile blue陽性細胞の集積が認められ、癒合が進むとともに不明瞭になるのが観察された。HE染色像においては接触部に上皮と思われる一層の濃染部を認めるものや鼻腔側、口腔側にのみ、あるいは中央部にのみの上皮の残存を認めるものと様々であった。残存した上皮細胞中には核の断片化、細胞縮小、クロマチン濃縮といった特徴的な形態変化を認めた。 3. 免疫組織化学的観察 正中上皮索の消失にアポトーシスが関与することを証明すべく、口蓋板癒合部上皮細胞を対象とし、アポトーシス関連タンパクであるFas,Fas ligandを介したアポトーシス誘導経路の探索、TUNEL法用いた断片化DNAの検索を行った。その結果、Fas,Fas ligand陽性のシグナルが癒合部上皮細胞中に発現していた。またアポトーシスの最終目的にあたる断片化DNAを示唆するTUNEL陽性細胞が認められた。以上よりin vitroにおいてもFas,Fas ligandを介したアポトーシスの実行過程が再現されていた。
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