1999 Fiscal Year Annual Research Report
顎関節滑膜線維芽細胞の細胞生物学的機能の検索(機械的刺激とサイトカインの影響)
Project/Area Number |
11672017
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小倉 直美 日本大学, 松戸歯学部, 副手 (10152448)
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Keywords | 顎関節症 / ヒト顎関節滑膜細胞 / out growth法 / IL-1β / IL-6 / plasminogen activator |
Research Abstract |
顎関節症は多様な因子が関与していると考えられ、多方面からの研究が行われているが、細胞学的レベルでの研究は進んでいない。本申請では、顎関節の恒常性維持や病態生理において重要な役割を担っている顎関節滑膜細胞の細胞学的、生化学的諸性質を検索することを目的とした。<方法>顎関節強直症でインフォームド・コンセントを行った患者の顎関節開放手術時に採取した滑膜をPBS(-)で洗浄後、細分する。20%FCSを加えたHam F12培地を用い、out growth法にてヒト顎関節滑膜細胞を得た。得られた細胞は10%FCSを添加Ham F12にて継代培養を行った。次に、confluent stageの細胞にIL-1βを作用させ、培養上清を採取した。合成基質を用いてplasminogen activator(PA)活性およびELISA法にてIL-6量をそれぞれ測定した。実験にはpassage6-8代のものを使用した。<結果及び考察>顎関節滑膜培養後、約2週間で滑膜片より細胞がout growthしてくるのが観察された。得られた細胞を低濃度で藩種した時はマクロファージ様細胞と線維芽細胞様細胞の2種類の形態の細胞が顕微鏡下で観察された。Confluentになると線維芽細胞様となり、over confluentになると敷石状となった。再び、低濃度で藩種するとマクロファアージ様細胞と線維芽細胞様細胞の2種類が見られた。次に、ヒト顎関節滑膜細胞にIL-1βを作用させ、培養上清中のPA活性を測定したところ、IL-1β作用濃度および作用時間に応じてPA活性は有意に上昇した。培養上清中のIL-6量もIL-1β作用濃度および作用時間に応じて有意に上昇した。以上の結果から、変形性顎関節症における炎症の進展や細胞外基質の破壊に滑膜細胞が深く関与していることが示唆された。また、out growth法にて得られたヒト顎関節滑膜細胞はheterogenousであると考えられ、今後cloning等を行うことにより、ヒト顎関節滑膜細胞の諸性質を検討していく。
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