1999 Fiscal Year Annual Research Report
ネコ舌下神経切断後の両側筋電図経日変化および舌下神経核と三叉神経運動核の局在配列
Project/Area Number |
11672019
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
堀 稔 日本大学, 歯学部, 講師 (60096899)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 輝彦 日本大学, 歯学部, 助手 (40267092)
岩成 進吉 日本大学, 歯学部, 助手 (30168588)
田中 博 日本大学, 歯学部, 教授 (30059555)
平場 久雄 日本大学, 歯学部, 講師 (00156689)
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Keywords | 片側舌下神経内側枝切断 / 顔面口腔行動変化 / 食物摂取行動変化 / オトガイ舌筋 / 蛍光物質 / 舌下神経核 / ネコ |
Research Abstract |
本年度は,片側舌下神経内側枝切断後再生しないように処置したネコの咀嚼運動時の顔面口腔行動,食物摂取行動とオトガイ舌筋活動の経日的変化,さらにその変化に伴う舌下神経核内の神経細胞の局在と配列を調べた。その結果は,以下に示す。 (1)片側舌下神経切断による顔面口腔および食物摂取行動の変化 1)片側舌下神経切断直後の舌突き出し時,舌は神経切断側へ約40度屈曲し,その後約30日で約25度付近に安定した。その間両側のオトガイ舌筋の筋電図において神経切断の前後で比較すると,神経切断直後は非切断側が約130%に増加,切断側が約50%に減少した。その後,約30日で筋活動は非切断側で約110%に減少,切断側も約80%まで回復し,以後安定した。2)食物摂取行動の食物摂取率は約2週間で正常の90-95%まで回復したが,食物摂取時間は約2週間で約3倍に延長し,その後徐々に回復し約30日で約2倍で安定した。 以上より,我々は片側舌下神経切断後,約30日で種々の生理学的変化が安定すると推察した。 (2)上記の結果に基づき,片側神経切断後約30日目に,両側のオトガイ舌筋に蛍光物質を注入し,約1週間生存させた後,凍結連続切片を作製し,蛍光標識細胞の舌下神経核内での分布を検索した。 1)正常のネコの片側オトガイ舌筋に蛍光物質を注入すると,obexより吻側の同側舌下神経核内のみに多くの蛍光標識細胞が認められた。2)片側舌下神経切断後約30日間生存させたネコでは,obexより吻側の同側舌下神経核内の蛍光標識細胞は観察されない。しかし,切断側のオトガイ舌筋に注入した蛍光物質に標識された神経細胞は,わずかではあるが対側の内舌筋の舌体部と下根部を支配する神経細胞の局在部位で認められた。 この結果は,切断後約30日で非切断側の舌下神経の末梢部に何らかの変化が起こり,中枢投射が変化した可能性を示唆させる。
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