1999 Fiscal Year Annual Research Report
サイトカインとトロンボモジュリン分析による長時間手術での凝固異常要因の解析
Project/Area Number |
11672020
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
高杉 嘉弘 日本歯科大学, 歯学部, 講師 (90120683)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 仁也 日本歯科大学, 歯学部, 講師 (80139295)
荒井 千明 日本歯科大学, 歯学部, 助手 (40139308)
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Keywords | サイトカイン / トロンボモジュリン / 悪性腫瘍 / 血液凝固 / 組織因子 / 血管損傷 |
Research Abstract |
【目的】長時間を要する悪性腫瘍手術では、手術経過とともに著しい血液凝固能の亢進が生じ、血栓性合併症の要因となる可能性がある。この長時間手術での凝固線溶異常の要因として、基礎疾患、手術に伴う広範な軟組織損傷に伴う組織因子(TF)の血中遊離、血管吻合による直接的な血管内皮損傷などの関与が考えられるが、明かにされていない。われわれは凝固異常を凝固マーカーであるfragment 1+2(F1+2)と線溶マーカーであるplasmin α2-plasmin inhibitor complex(PIC)、血管損傷の程度をトロンボモジュリン(TM)、組織損傷の程度をTFとtissue factor pathway inhibitor(TFPI)、侵襲程度をインターロイキン6(IL-6)の変動について手術中ならびに術後2日までの推移を検討した。 【対象ならびに方法】対象は、日本歯科大学歯学部附属病院において行った顕微鏡下遊離皮弁移植による即時再建術を含む悪性腫瘍手術患者9名とした。F1+2、PIC、TM、TF、TFPI、IL-6の測定は、麻酔開始時、頸部郭清術終了時、顕微鏡下手術終了時、麻酔終了時、術後1、2日(1POD、2POD)に行った。 【結果ならびに考察】F1+2は手術経過とともに著増して麻酔終了時に最大となり、2PODにほぼ麻酔開始時のレベルまで低下した。PICは麻酔終了時と1PODに増加した患者がいたが、2PODには低下した。TM、TF、TFPIは麻酔中、術後とも明かな変動はなかった。IL-6は手術経過とともに増加し、術後低下した。以上の結果から、頭頸部悪性腫瘍手術中に侵襲反応としてIL-6が著増するにも関わらず、組織損傷、血管損傷の程度は少なく、組織、血管損傷の手術中の凝固亢進への関与は大きくないものと考えられた。
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