2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11672038
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
加藤 純二 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (80177451)
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Keywords | 半導体レーザー / 歯髄温存療法 / dentin bridge |
Research Abstract |
まず、半導体レーザーを歯髄温存療法に応用するため、昨年度に引き続き、動物実験を行った。ラット(体重約100g)の歯根未完成な上顎第一臼歯に断髄をおこなった。#1/2電気用ラウンドバーを用いて上顎第一臼歯の咬合面近心を穿孔し、冠部歯髄を除去した後、半導体レーザー(長田電気工業株式会社製オサダライトサージ3000)を用いて近心根根管口部付近にてレーザーを照射した。照射条件は500mW5秒さらに500mW10秒おこなった。経時的に組織学的に検索したところ、500mW5秒では術後2週目で多量の骨様の多量のdentin bridgeの形成がみられた。500mW10秒でもdentin bridgeの形成がみられたが、500mW5秒群に比べ、成績が悪かった。半導体の長い照射時間が、逆に治癒遅延をもたらす傾向がみられた。これらの結果をもとに、実際の臨床に数例、応用した。対象は上顎乳前歯に応用した。術式は通常のエアータービンで齲蝕除去、歯冠部歯髄除去後、電気エンジン用ラウンドバーで断髄をおこなった。その後通常の化学的洗浄をおこない、半導体レーザー(長田電気工業株式会社製オサダライトサージ3000)を照射した。照射条件は出力500mW、5秒で、断髄面から約3〜5mm離して照射した。照射後、水酸化カルシュウムを貼付し、グラスアイオノマーセメントで仮封をおこなった。その結果、術後約1ヶ月でX線上から多量のdentin bridigeの形成がみられ、また、臨床的諸症状も観察されなかった。したがって、半導体レーザーは研究計画立案時における、高出力レーザーメスとして使用するより、He-Neレーザーと同様、組織賦活化の目的で使用した方がよいことがわかった。
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