2001 Fiscal Year Annual Research Report
歯科用金属によるアレルギー発現のスクリーニングに関する研究
Project/Area Number |
11672057
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Research Institution | TOKYO DENTAL COLLEGE |
Principal Investigator |
山中 すみへ 東京歯科大学, 歯学部, 助教授 (40085840)
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Keywords | 歯科用金属 / アレルギー発現 / リンパ球刺激試験 / スクリーニング検査 / γ-インターフェロン / インターロイキン-2 |
Research Abstract |
歯科用金属によるアレルギーの発現は、多くの症例が報告され、作用機作の検索とともにスクリーニング法を確立することが課題となっている。これまでにin vivoでのパッチテストを検討してきたが、刺激作用が加わって実際のアレルギー反応よりも過剰な結果を現すという問題点があることを報告してきた。そこで今回は、in vitroでアレルギー作用をスクリーニングする方法として、リンパ球刺激試験とリンパ球機能検査を検討し、以下の結論を得た。(1)金属抗原の刺激によるリンパ球の反応を、チミジンの取り込み量から求めるリンパ球刺激試験では、クロムやコバルト、金、チタンさらに感作陽性物質のDNCB(1-Chloro,2,4-dinitrobenzene)は、陽性者のみで180以上の高値となり、in vitroのスクリーニング法として有用であることを示した。しかし感作され易く、かつ免疫寛容も起こしやすい水銀とニッケルでは、すべての被験者で陽性となった。免疫寛容によるリンパ球の反応でも刺激指数が高くなることを示したことから、寛容による抑制と症状の発現を判別できず、スクリーニング法として不適であった。(2)次に、培養後のリンパ球機能を調べたところ、T細胞表面のCD4^+(ヘルパーT細胞)やCD8^+(サプレッサーT細胞)の発現は、水銀やニッケルによるin vitro刺激で変化が少なかったが、T細胞表面インターロイキン-2(IL-2)レセプターの発現や、培養液中IL-2活性、γ-インターフェロン(γ-IFN)活性は明らかに上昇し、とくにアレルギー発症者で高くなった。これらのことから、リンパ球のIL-2レセプターの発現や培養液中IL-2活性、γ-IFN活性などの機能検査は、免疫寛容による抑制とアレルギー症状の発現とを判別するスクリーニング法として、有用であることが示唆された。
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[Publications] 山中すみへ, 太田 薫, 鈴木啓介, 野村登志夫, 高江洲 義矩: "ヒトにおける金属アレルギー発現のスクリーニング法としてのリンパ球刺激試験"口腔衛生学会雑誌. 51. 69-76 (2001)
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[Publications] S.Yamanaka, T.Nomura, K.Ohta, Y.Takaesu: "Screening method for allergy associated with dental metals"Journal of Dental Research. 80. 661 (2001)
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[Publications] 山中すみへ, 太田 薫, 野村登志夫, 高江洲 義矩: "ヒト・リンパ球in vitro抗原刺激による活性変化"日本衛生学雑誌. 56. 349 (2001)
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[Publications] 山中すみへ, 太田 薫, 野村登志夫: "歯科用金属によるアレルギー発現とリンパ球刺激反応"口腔衛生学会雑誌. 51. 560-561 (2001)
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[Publications] 山中すみへ: "義歯に用いられるコバルト・クロム合金の生体影響"日本医事新報. 4026. 112 (2001)
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[Publications] S.Yamanaka: "Metal allergy and its screening methods associated with dental practice"Dentistry in Japan. 38. 187-194 (2002)