歯科補綴物をDNA源とした新しい個人識別法の開発

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 11672058
• Research Institution: TOKYO DENTAL COLLEGE
• Principal Investigator: 花岡 洋一 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (30180912)
• Keywords: 法医学 / 法歯学 / 個人識別 / 歯科補綴物 / 歯科用レジン / DNA分析 / 性別判定 / D4S43 locus

Research Abstract

本研究は、現行の歯科補綴治療において繁用されている歯科用レジンおよび金銀パラジウム合金が、DNA分析による個人識別に有用なDNA源となり得るかどうかを明らかにし、さらにこれを最も有効に活用し得る個人識別法を明らかするものである。
1.患者の口腔内に装着されていたもので且つ歯科医師や第3者によるコンタミがないと判断されるレジン製歯科補綴物の収集は極めて困難であったものの、平成14年度にさらに5例を追加し、計55例に到達した。
2.新たに得られた試料5例のDNAを基に、(1)補撮物の口腔内装蒼期間とDNA抽出量との関係
(2)DNA抽出までの放置期間とDNA抽出量との関係
(3)Amelogenin領域を対象としたmannucciらの方法による性別判定
(4)変性ゲル電気泳動によるD4S43 locusにおけるVNTRの変異の検索について検索したところ、これまでの研究結果に矛盾する結果はなく、(1)、(2)については両者間に相関関係は認められず、また、(3)については補綴物が装着されていた患者の性別と一致した。しかし(4)については新たに見出されたallele 1の中の4種の変異は見出されなかった。
3.金銀パラジウム合金の試験片60例を作製し、手指による圧迫からDMの抽出を試みたところ、全試料から分析に必要は十分量のDNAが抽出された。従って金銀パラジウム合金もレジン同様に、有用なDNA源と成り得ることが判明したものの、あらたに手指のコンタミによるご判定の危険性が極めて大きいことが示唆された。

Research Products

• [Publications] Yoichi HANAOKA: "STR and mtDNA from contaminated dental"J Dent Res. 80. 633 (2001)
• [Publications] Yoichi HANAOKA: "STR and mtDNA from dental meterials contaminated through finger contact"7th Indo Pacific Congress on Legal Medicine and Forensic Sciences(in printting).