2000 Fiscal Year Annual Research Report
アスパラギン酸のラセミ化反応を利用する骨からの年齢推定に関する研究
Project/Area Number |
11672063
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
大谷 進 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (60104478)
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Keywords | 骨 / 年齢推定 / ラセミ化反応 / D-アスパラギン酸 / 加齢変化 / 法医歯科学 / 法医学 / 硬組織 |
Research Abstract |
ラセミ化法によるヒトの骨からの年齢推定について、最も容易に採取しやすい頭蓋骨に着目した。そして、その手段の一つとして老化促進モデルマウス(SAM/Iw)の促進系(SAMP2/Iw)と抵抗系(SAMR1/Iw)の頭蓋骨をもちいてD-アスパラギン酸(D/L比)を求めた。 SAM/IwのD/L比は、9ヵ月齢まではSAMP2/Iwおよび雌で高く検出された(P<0.001)。しかし、12ヵ月齢ではSAMR1/IwおよびSAMP2/Iwにかかわらず雄で高く認められた(P:0.01-0.001)。SAM/Iwの前頭骨、頭頂骨および頭頂間骨のD/L比は、頭頂骨>頭頂間骨>前頭骨の順に高い値であった。しかし、D/L比の推移の仕方では骨の種類による差はほとんどみられなかった。ヒトの頭頂骨の内面には、動脈溝、静脈溝が走り、温度が高いことが推測できる。しかし、SAM/Iwの頭頂骨の内面には、はっきりとした脈溝はみられない。前頭骨のD/L比が他の二つの骨のそれよりも低いのは、前頭骨の内面の空洞が影響しているためかも知れない。また、頭頂骨は骨が厚く、他の骨と比べ、洗浄の際、遊離アミノ酸が除去されにくいのかも知れない。著者はヒト大腿骨を洗浄すればするほど、徐々にD-アスパラギン酸が低下することを経験している。 これらのことから、SAM/Iwの頭蓋骨のD-アスパラギン酸は、若齢ではSAMR1/Iwより老化の早いSAMP2/Iwで高く、体温の影響をかなり受けていることが示唆されたが、老化が進むに従い雌雄差の方が大きいことが判明した。実際にヒトの骨から年齢推定を行うには、女性骨の場合、充分注意が必要であることが再確認された。
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Research Products
(2 results)