2001 Fiscal Year Annual Research Report
アスパラギン酸のラセミ化反応を利用する骨からの年齢推定に関する研究
Project/Area Number |
11672063
|
Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
大谷 進 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (60104478)
|
Keywords | 骨 / 年齢推定 / ラセミ化反応 / D-アスパラギン酸 / D-アミノ酸 / 加齢変化 / 法医学 / 歯科法医学 |
Research Abstract |
アスパラギン酸のラセミ化反応の理解を深め、正確な骨からの年齢推定を行うために、各種分析過程における誤差について検索した。試料は男性の大腿骨を用い、total amino acidからラセミ化率および推定年齢にどの程度の影響が見られるか否か検索した。分析項目は試料量、試料粒子の大きさ、加水分解温度、加水分解時間、加水分解時の塩酸量、加水分解時の塩酸濃度の6項目である。各分析項目のそれぞれの値は、試料量を除き一次反応様式に従い直線的に増減し、ラセミ化率との高い相関(r=0.96以上)が認められた。すでに報告している大腿骨のラセミ化反応速度定数[k(yr)=2.79×10^<-4>]を用い、各分析項目のラセミ化反応速度式からk値を導き、大腿骨のk値より年齢を導いた。その結果、加水分解温度がもっとも影響を受けやすく(3.08歳/℃)、ついで、塩酸量(1.45歳/ml)、塩酸濃度(0.69歳/0.1M)の順であった。試料量は、5〜50mgの範囲では影響しないことが認められた。また、ラセミ化率は試料粒子の大きさが大きいほどならびに塩酸量が多いほど低下した。大腿骨はすでに報告している象牙質と比較すると、ラセミ化反応速度が遅いため、誤差が大きくなる傾向で、慎重に分析する必要があると思われた。実際に骨から年齢鑑定を行う場合は、年齢既知の数本の同種の骨と共に検査する必要があるもと再確認された。さらに、現在、骨のタンパク質を電気泳動し、得られたバンドからD-アスパラギン酸量を検出し、その比較を試みている。
|
Research Products
(1 results)