1999 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトの歯周ポケットにおけるポルフィロモナス ジンジバリスの付着-増殖機構の解析
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11672081
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
野杁 由一郎 大阪大学, 歯学部, 助手 (50218286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
恵比須 繁之 大阪大学, 歯学部, 教授 (50116000)
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Keywords | Porphyromonas gingivalis / 線毛 / 免疫組織化学 / 歯周ポケット |
Research Abstract |
porphyromonas gingivalisがヒトの歯周ポケットにおいて線毛を発現しているか否か,あるいは線毛を介した付着-定着機構の実態を解明するため,以下の実験を行った。P.Gingivalis 381より分離・精製した線毛標品に対する特異抗血清をウサギを用いて通法に従い調製した。ヒトの歯周ポケットを可及的に保存した試料上で,調製した抗線毛抗体を用いた免疫組織化学的手法によりP.Gingivalis線毛を検索した。その結果,ヒトの歯周ポケットにおいて,抗線毛抗体陽性のP.Gingivalisを検出した。歯周ポケット浅部では,抗線毛抗体に対する陽性反応は,歯根付着性プラークから上皮関連プラーク領域に及ぶ広い領域で検出された。浅部での抗線毛抗体に対する染色性は,中央部や深部に比べ弱かった。歯周ポケット中央部の抗線毛抗体に対する陽性反応は,歯根付着性プラーク及び弱付着性プラーク領域で散在性に検出された。歯周ポケット深部の抗線毛抗体に対する陽性反応は,主に歯根付着性プラーク及び弱付着性プラーク領域でみとめられ,上皮関連プラークではあまりみられなかった。さらに,歯周ポケット底部に近づくに従い,歯面に接した部位あるいは近接した部位で検出される頻度が増加する傾向を示した。抗線毛抗体対する陽性反応は,歯周ポケットのいずれの深さにおいても,上皮内では検出されなかった。P.Gingivalisはin vivo系においても線毛を形成していると推察されていたが,ヒトの歯周ポケットでP.Gingivalisが線毛を発現し棲息していることが明らかとなり,同菌と歯周組織破壊との関連が改めて示唆された。抗線毛抗体に対する陽性反応は,歯周ポケット底部に近づくに従い,歯根面に接したあるいは近接した部位で検出され,同部位ではP.Gingivalis線毛が歯面への初期付着の役割もを担っていると推察された。
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Research Products
(1 results)